2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500705
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
矢永 誠人 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (10246449)
|
Keywords | 亜鉛欠乏 / 機器中性子放射化分析 / マウス肝臓 / マウス膵臓 / マウス精巣 / SDS-PAGE |
Research Abstract |
平成20年度には、食餌中の亜鉛を欠乏させたマウスの肝臓、膵臓及び精巣に着目した。それぞれの細胞を遠心分離法により、核画分、ミトコンドリア画分、リソソーム画分、ミクロソーム画分及びサイトゾル画分に分離し、各画分中の微量元素濃度を機器中性子放射化分析法により定量した。その結果、膵臓では、各画分中の亜鉛濃度が低下しており、その低下はサイトゾル画分において顕著であった。それぞれのサイトゾル画分中に含まれるタンパク質についてSDS-PAGE及び二次元電気泳動法による分離を行い、対照マウスのそれと比較したところ、精巣では、亜鉛欠乏マウスにのみ認められるタンパク質が存在していた。このことは、亜鉛欠乏時に誘導されるタンパク質の存在する、または、本来合成されるべきタンパク質の前駆体の状態で停止していることを示している。 また、ゲルクロマトグラフィーによるタンパク質の分離も行い、各フラクションに含まれるタンパク質量と亜鉛濃度との関係を調べた。肝臓及び精巣については、亜鉛欠乏群と対照群との間に有意な差は認められなかった。しかしながら、膵臓については、亜鉛欠乏群において、ある分子量領域の亜鉛濃度が低下していた。電気泳動の結果ともあわせて考えると、このことは、膵臓には、亜鉛欠乏時でも正常な状態で存在する亜鉛タンパク質とアポタンパク質の状態で存在するタンパク質があることを示していると考えている。また、肝臓について分離した各フラクションを、さらにSDS-PAGEを行ったところ、分子量が約150KDaのタンパク質量が、亜鉛欠乏マウスでは低下しており、タンパク質自体の減少も認められた。
|