2008 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期低栄養に起因する血圧上昇での活性酸素産生酵素の分子機構と食品成分による改善
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20500710
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 伸 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 教授 (40310099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 弘美 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (20315534)
向井 友花 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (60331211)
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Keywords | 胎児期低栄養 / 高血圧 / NAD(P)Hオキシダーゼ / 酸化ストレス / マクロファージ / 一酸化窒素合成酵素 / ポリフェノール |
Research Abstract |
背景:血圧上昇に活性酸素が深く関与していることが明らかになりつつある。すなわち、血圧上昇では、活性酸素酸素の1つであるスーパーオキシド(02-)を産生するNAD(P)Hオキシダーゼが、活性化し02-を過剰に産生する。一方、近年、低栄養の子宮環境で発育した児は、成長後、高血圧、心血管障害、肥満等を高率に発症し、胎児期の低栄養は生活習慣病の増悪因子となると考えられている。しかし、実験的に低栄養状態の母獣から産まれた仔の生後に生じる血圧上昇において、NAD(P)Hオキシダーゼの活性化やその活性化の分子機構に関する知見は少ない。そこで、今年度は低栄養状態の母体から産まれた児の血圧に及ぼすフルクトースの影響を検討した。なお、フルクトースは血圧上昇を促進することが知られている。 方法:妊娠したWistar系ラットを対照群(C群:20%蛋白質含有)と低栄養群(LP群:8%蛋白質含有)に分け、妊娠0日から離乳時まで投与した。離乳時に、C群およびLP群から産まれた仔を4群に分け、各々に標準動物食(CC群とLPC群)および60%フルクトース食(CF群とLPF群)を11週間与えた。投与期間に体重、収縮期血圧(SBP)を測定した。投与後10週にすべての動物を代謝ケージに入れ、24時間尿を採取した。屠殺時に血漿、大動脈を採取した。大動脈の一部はルシゲニン法によりNAD(P)Hオキシダーゼ由来の02-量を測定した。残りは総RNAを抽出し、リアルタイムPCR法によりNAD(P)HオキシダーゼのサブユニットであるNox4及びp47phoxのmRNA発現量を測定した。 結果:妊娠期から離乳時に低栄養群の親から産まれた仔ラット(LPC群)の成長に伴うSBPは、対照群の仔(CC群)に比べて高値であった。また、CC群とCF群のSBP、LPC群とLPF群のSBPを比較すると各々フルクトースを添加した群で高値であった。大動脈中の02-量については増加傾向がみられた。さらに、LPC群の大動脈においてp47phoxのmRNA発現量は増加することが見いだされた。
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