2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール摂取による脂溶性栄養素の代謝への影響とその作用機序に関する研究
Project/Area Number |
20500716
|
Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
駿河 和仁 University of Nagasaki, 看護栄養学部, 准教授 (70315852)
|
Keywords | アルコール / 機能性食品成分 / 肝障害 / 脂肪肝 / TNFα / NO / MTP |
Research Abstract |
1. アルコール摂取による脂溶性栄養素の吸収・代謝変動に対する機能性食品成分の影響:アルコール摂取によるビタミンA/β-カロテンの吸収や代謝および脂肪肝などの肝障害に及ぼす機能性食品成分の効果について検討を行った。その結果、ラットにエタノールを5週間摂取させたところ、肝臓の脂肪蓄積、肝障害指標(ALT, AST)および血中TNFα、NO濃度の上昇が見られたが、アルコールによる肝臓障害抑制作用を持つ種々の機能性食品成分(クルクミン、シリビニン、ベタイン)の同時摂取させた群では、それらの上昇はいずれも抑制された。また、肝クッパ-細胞様モデル細胞株であるRAW264.7を用い、エンドトキシン(LPS)刺激し誘導されるTNFαやNO産生量の上昇が、クルクミン、シリビニン、ベルベリンおよびレスベラトロールの処理により抑制された。これらの結果から、本研究に用いた機能性食品成分はアルコール誘因性の肝障害抑制作用を示し、その作用には肝臓の炎症性サイトカインの産生抑制が関与していることが明らかとなった。 2. アルコール摂取による肝臓MTP遺伝子の発現抑制メカニズムに関する研究:アルコール性脂肪肝の発症要因のひとつとして、特に肝臓からの脂質分泌に関与するマイクロゾームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)遺伝子の発現量低下が関連している。本研究ではそのメカニズムについてラット肝臓由来の培養細胞H4IIEC3を用いた実験を行った。その結果、エタノールの単独の処理では、H4IIEC3細胞のMTP mRNA量は変動を示さなかったが、エタノールにより誘因される炎症性サイトカイン(おもにTNFα)の処理によりMTP mRNA量は減少した。さらにルシフェラーゼレポーターアッセイの結果、ラットMTP遺伝子のプロモーターコア領域(+54~-216)にTNFαによる転写抑制領域が存在することが明らかとなり、現在その領域の特定と作用する転写因子の同定を行っている。
|