2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランス脂肪酸が誘発する低アディポネクチン症の機構の解明
Project/Area Number |
20500719
|
Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
加納 和孝 Seitoku University, 人文学部, 教授 (70111507)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 宏隆 聖徳大学, 人文学部, 教授 (70119791)
|
Keywords | トランス脂肪酸 / アディポネクチン / PPAR / 脂肪酸 |
Research Abstract |
平成20年度はPPARγとNF-κB、AP-1等の転写因子複合体、その他のタンパク質とのトランス脂肪酸の結合能、アディポネクチンタンパク質合成を指標としてトランス脂肪酸と合成リガンドであるチアゾリン誘導体、フィブラート等、天然のリガンドである遊離脂肪酸との拮抗作用を詳しく解析した。タンパク質としてはPPARγと結合することが知られている、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、その他のタンパクについても検索を行った。PPARγのタンパク質産生抑制はDNA配列に非依存的であるとする報告もあり、DNA結合性タンパク質以外の考えられる因子について検索を行う必要があると考える。 本年度に行った人乳がん細胞YMBを用いた実験で以下のことが明らかにされた。 1.アディポネクチンの合成はトランス脂肪酸の添加により抑制される。 2.この抑制は培地に添加した血清の濃度により影響される 3.受容体PPARの量もトランス脂肪酸の添加により変動する。 本研究は上記培養細胞を用いてエライジン酸やバクセン酸のPPARγの情報伝達、遺伝子活性化への抑制機構を以下の方法で解析し、トランス脂肪酸のアディポネクチンの産生抑制に関与する転写因子を特定し、さらに他の脂肪酸との関係も含めていくつかのトランス脂肪酸のアディポネクチン産生抑制の機構を解明することを到達目標としている。 現在までに明らかにされたことはトランス脂肪酸がアディポネクチンをはじめとするいくつかの重要なタンパク質の合成に何らかの影響を持つと言うことである。このことはトランス脂肪酸の持つ生理活性を明らかにするための第一歩であり非常に重要な知見であると考える。
|