2009 Fiscal Year Annual Research Report
トランス脂肪酸が誘発する低アディポネクチン症の機構の解明
Project/Area Number |
20500719
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
加納 和孝 Seitoku University, 人文学部, 教授 (70111507)
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Keywords | 脂肪酸 / アディポネクチン / 培養細胞 / PCR |
Research Abstract |
トランス脂肪酸は動脈硬化、虚血性心疾患などの原因になるとされ、欧米では行政による摂取低減の取り組みが始まっている。日本人は米国人と比較してトランス脂肪酸の摂取量は少ないとされるが、近年のファーストフードの普及によって、フライドポテト等から摂取するトランス脂肪酸量は相当量になるとされている。 代表者はこれまでにエライジン酸などのトランス脂肪酸を含む様々な脂肪酸、脂質、脂質関連物質による細胞死誘導機構の解析を行い、これらのトランス脂肪酸がいくつかの細胞で核の断片化、DNAの断片化、カスパーゼ3の活性化を伴うアポトーシスを誘導することを明らかにしてきた。この実験の過程で、エライジン酸はアポトーシスを誘導する濃度よりも低い濃度から、ヒト乳がん由来YMB細胞でアディポネクチン産生を低下させることを見いだした。25μM~200μMエライジン酸存在下で24時間~72時間培養したヒト乳がん由来YMB細胞からRNAを抽出し、逆転写を行い、リアルタイムPCRで解析した結果、エライジン酸の添加により濃度、時間依存的にアディポネクチンmRNA発現量の減少が認められた。GAPDHをコントロールとした場合72時間でのアディポネクチンmRNA発現量は50μMで約30%、200μMで約60%の低下を示した。アクチンをコントロールとした場合でも減少の幅に大きな差は認められなかった。 このエライジン酸によるヒト乳がん由来YMB細胞でのアディポネクチンmRNA発現量の低下はPPARγ(ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体γ)の活性化因子であるチアゾリジン誘導体で阻害されるが、PPARαを活性化するとされるフィブラートでは阻害されないことなどからPPARγを経由した機構で制御されていることが示唆される。
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Research Products
(1 results)