2010 Fiscal Year Annual Research Report
トコトリエノールの体内プロドラッグ作用とその機能解明
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20500726
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清瀬 千佳子 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (50272745)
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Keywords | ビタミンE / トコトリエノール / プロドラッグ作用 / ナトリウム排泄 |
Research Abstract |
最終年度は、ビタミンE代謝物であるカルボキシエチルヒドロキシクロマン体が恒常性を維持できていないような生体の状態でどのように代謝に影響が及ぼされるかについて検討を行った。体内組織中のCEHC体の定量方法については、20年度~21年度にかけて確立を行うことが出来たので、この測定方法を用いて検討することにした。そこで、まずは高食塩食を負荷した状態のラットの組織中のCEHC生成量とナトリウム排泄への影響について検討を行った。 まず最初に、2%食塩含有の精製飼料をラットに4週間与えたのち、γ-トコフェロールならびにγ-トコトリエノールを単回で経口投与した。投与後すぐに採尿を開始し、3時間毎に24時間まで採取した。尿採取後、再度、両物質を経口投与し、投与12時間後に解剖し、各種組織を採取した。まずナトリウム利尿効果であるが、投与12時間~15時間で若干ナトリウムを排泄する傾向が見られたが、γ-トコフェロールならびにγ-トコトリエノールで強いナトリウム利尿効果は見られなかった。この時の肝臓、腎臓、尿中のγ-CEHCを定量したところ、どの組織においてもγ-トコフェロールよりもγ-トコトリエノールの方が多くγ-CEHCへ代謝されていた。そこで、次に食塩負荷を5%に上げ、さらに3日間連続してビタミンEを投与したところ、投与24時間の総ナトリウム排泄量をカリウム量との比で表したところ、γ-トコフェロールよりもγ-トコトリエノールで強いナトリウム利尿効果を示した。その時の尿中γ-CEHC量を測定したところ、高食塩食負荷ではγ-トコフェロールよりもγ-トコトリエノールの方が多くγ-CEHCへ代謝されていたが、通常食でそれぞれのビタミンEを投与した方がγ-CEHCが多く存在していた。以上の結果より、γ-トコフェロールよりもγ-トコトリエノールの方が体内でγ-CEHCへ多く代謝される分ナトリウム利尿効果が高い可能性が推察された。しかし、今回は、高食塩食負荷という恒常性が維持できていない体内においてもビタミンE代謝には影響しない可能性が推察された。
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