2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化メカニズムに基づいた老化予防のための食資源開発
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20500731
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
土井 裕司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50106267)
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Keywords | チューブリン / 微小管 / PC12細胞 / ケルセチン / エピカテキン / アスタキサンチン / 8-OHdG |
Research Abstract |
報告者は、脂質過酸化物が細胞を老化させる原因物質の一つであると仮定して、過去に、脂質過酸化物と細胞骨格タンパク質との相互作用を検討し、チューブリンからの微小管形成が阻害されることを明らかにした。さらに神経細胞モデルであるPC12細胞への脂質過酸化物の影響を検討して、それが細胞内チューブリンに作用して、チューブリンからの微小管形成を阻害する結果、細胞の生育や生存を抑制しているという細胞老化メカニズムを明らかにしてきている。以上の事実から、本研究では、脂質過酸化物に対する細胞の対応力を食品成分(食品素材)を用いることによって引き出すことを念頭に研究目的の達成を目指した。まず、微小管形成阻害へ至るメカニズムをより詳細に検討するため、脂質過酸化物に暴露されたPC12細胞の8-OHdG量をHPLCを用いて定量した結果、脂質過酸化物投与の濃度依存的に8-OHdGが上昇していた。この事実は、脂質過酸化物がDNA損傷を引き起こしていることを示している。そのとき、微小管形成も阻害されていることをチューブリンへの抗体染色による蛍光顕微鏡観察からも確認された。脂質過酸化物は遺伝子を損傷し、細胞骨格形成を阻害することによって細胞の生育を抑制していることが考えられた。他方、ケルセチン、エピカテキン、アスタキサンチンといった抗酸化性物質は脂質過酸化物による細胞生育阻害を解除し、さらに、夏ミカンや人朔の果皮水抽出物も同様の効果を示した。これらのものは老化抑制物質としての応用が可能であることが示唆された。
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