2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500742
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 勉 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (20154651)
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Keywords | ラドン / 天然放射能 / ラドン娘核種 / 教育プログラム / 放射能の絶対測定 / 融合型実験 |
Research Abstract |
本研究では、壁材から放出されるラドンを用いた教育プログラムを作成しその内容を充実させるために、壁からのラドンの散逸率およびそれに影響する要因、壁材中のラジウム量とラドン放出量の関係、ラドンの娘核種の捕集などを定量的に評価することとした。本年度は、昨年度に引き続いて密閉室内のラドン濃度の連続測定とそのデータ整理、壁材の採取によるラジウムの定量、壁材採取試料を用いた模擬密閉容器内のラドン濃度の測定等を行い、ラドンの放出メカニズムについて考察した。密閉室内のラドン濃度を種々の期間で測定したが、部屋を閉めてから徐々に増加し、約1週間で1kBqm^<-3>に達した。また初期における濃度増加率は300~400Bqm^<-3>d^<-1>の範囲であった。この増加率のデータのうち、11月~3月にかけて取得したものは、空気中の水分濃度に対して正の相関が見られたが、6月~10月初における高温多湿条件における値はその傾向から外れ、低い値(300Bqm^<-3>d^<-1>)を示した。この低い値は壁表面への結露の影響と考えられ、結露により値が低下し、その後の乾燥により上昇することが確認できた。微粒子からのラドンの放出はRa-226から生成する際の反跳の影響が大きく、微粒子表面に水分薄膜ができることで適当に減速され、壁の空隙をとおして壁から散逸されるが、水分量が多すぎる(結露)と水の膜内に止まってしまうために低い値となることが想定される。 模擬密閉実験の結果より、Ra-226量から計算されるラドンの11%が壁材から散逸していることがわかった。拡散方程式にあてはめると、密閉室における散逸速度は約1mBqm^<-2>s^<-1>と見積もられた。前述の濃度増加率はこの値を用いてよく説明することができ、模擬実験から得られた示性値を用いて実際の部屋の散逸率が、拡散モデルで定量的に評価できることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)