2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小ビーズ球を用いる摩擦のない力学演示実験装置の開発と普及
Project/Area Number |
20500751
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
香川 喜一郎 University of Fukui, 教育地域科学部, 教授 (90115296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 恭子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (50467130)
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Keywords | 科学教育 / 物理教育 / 力学実験装置 / 摩擦 |
Research Abstract |
力学は理工学の基礎であり、高校の物理で力学の概念形成を十分行っておく必要がある。しかし、現状は、計算問題を解く練習のみ行っており、高校の物理はもっとも人気の無い科目となっている。その大きな理由は、摩擦が影響する条件下では、理論どおり運動の様子を演示することが困難なことにある。また、重力による落下等の現象では、物体の運動がごく短時間で終了してしまうので、生徒が運動を十分観察することができないことによる。今回、我々は、安価な材料を用いて、摩擦のない(無視できる)力学演示実験装置を考案した。これによって生徒は楽しみながら、教科書に登場する力学の法則・現象の殆どを、目で見て確実に納得しながら学習することができることを実証できた。現在、摩擦を減らした等速運動などの観察には、力学台車、エアトラック、ドライアイスなどを使って実験を行うのが一般的である。しかし、こうした特殊な実験装置での実験では、生徒が一般的な法則・現象として理解するのは困難である。我々の方法では、ガラスなどの表面に微小なビーズを散布する。このビーズがボールベアリングの役割を果たし、摩擦のない2次元面上の物体の運動を自然に近い状態で実現できる。微小ビーズ球の直径は約0.3mmで、これは理科教材会社から、虹ビーズ(中村理科D-20-1406-01)として市販されている。 20年度の研究の大きな成果として、装置の軽量化を実現したこと、また各種付属装置を製作したことが挙げられる。これによって、運動の第一法則、運動の第二法則、運動の第三法則、水平投斜、モンキーハンティング、物体の衝突と運動量保存則、位置エネルギーから運動エネルギーへの変換、等速円運動、慣性力、水平ばね振動等々、中学・高校の教科書で学習するすべての項目に関して、効果的な演示実験が可能となった。また。磁界の高感度検出にも応用できることを示すことができ電磁気学への応用も可能とした。また、運動の記録方法に関して検討を行い、周期的に発光する発光ダイオードをガラスシャーレに取り付け、デジタルカメラを用いて撮影することにより、運動の軌跡を簡便・安価に記録する方法を確立し、これによって定量的な実験が高精度でできることを実証した。
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