2010 Fiscal Year Annual Research Report
微小ビーズ球を用いる摩擦のない力学演示実験装置の開発と普及
Project/Area Number |
20500751
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
香川 喜一郎 福井大学, 教育地域科学部, 名誉教授 (90115296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 恭子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (50467130)
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Keywords | 科学教育 / 物理教育 / 力学実験装置 / 摩擦 / 剛体の力学演示装置 |
Research Abstract |
高校の物理、特に力学は難しいとされている。その大きな理由は、通常、摩擦があるために、理論どおりに実験を示されないことにある。本研究では、虹ビーズとして使用されているプラスチックの微小ビーズを用いることで、摩擦の無視できる力学実験装置を可能にした。 本年度は以下の4点に於いて成果を得ることができた。 1)昨年まで試作した摩擦のない装置は、材料費・加工費が高く、実際に教育現場で普及するための障害となっていた。今回、アルミ角パイプ(15mmx15mm)、アルミ板(3mm厚)、またガラス板(3mm厚)を材料として、大きさ900mmx600mmの軽量・低コストの摩擦のない装置を作ることに成功した。これにより、高校の1クラスを4-5グループに分け、1グループ1台の装置で力学実験を行う体制作りが可能になった。 2)昨年までは、摩擦のない装置を、主に質点系力学の実験に用いていたが、22年度は、剛体力学へも応用できることを実証した。たとえば、水平面において剛体が重心点のまわりに安定な回転運動を続けることや、剛体を重力場で斜め投射したとき、重心点は質点の運動の場合と同じように運動することなどを、分かりやすく演示することができるようになった。 3)原子や分子に関するミクロ世界の現象を、本装置を応用して概念の可視化を試みた。たとえば、原子・分子における電離過程や、原子によるα粒子散乱の実験に関して、ガラスシャーレに取り付けた円形磁石間の引力や斥力を利用して、モデル実験がビーズ板上で演示できるようになった。 4)改良した摩擦のない装置を用いて、小・中学校理科担当教員や、高校の物理担当教員に、教員研修を行った。その結果、非常に教育効果の高い装置であるとの評価を得た。また、福井市内の小学校高学年対象の実験教室(述べ参加数約70名)においても本装置を使って実験を行い、小学生に対してさえも、力学3法則を理解させることができるとの感触を得た。
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Research Products
(2 results)