Research Abstract |
高等学校の物理において理解が難しいコンデンサやコイルを含んだ交流回路の動作を分かりやすくするため,各瞬間における回路の各部の電位の様子を3次元的なイメージで表現できるような教育用シミュレータを開発している。これまでは,以前作成した直流版と本研究で開発している交流版の切り替えが容易でなかったため,まず,この切り替えを容易にする改良を行った。 次に,交流回路シミュレータでは,電位の変化に対応して3次元的な表示も時間的に変化させるとともに,コンデンサに貯えられている電荷やコイルに生じている磁束をも表示できるようにしているが,昨年度は,これらの電位と電荷や磁束の表現方法について充分なものとはいえなかった。その表現は複数の方法が考えられるため,それらをどれも表示できるようにし,切り替えを可能にした。これを学会で発表して,専門家から表現方法について意見を求めたが,どの表現方法もそれぞれ長所・短所があり,使用者が選べる方がよいとの結論に至り,切り替えられるもののまま公開することにした。 本年度は,さらに,授業資料を準備する予定であったが,交流定常電流は高等学校では難易度が高いため利用が難しく,それより,コンデンサの充放電のような過渡現象をシミュレートする方が重要であるので,来年度の計画であったシステムの改良を前倒しして進めることとした。かなりの部分を作り直すため,大きな改変作業となったが,現在,改良版システムの開発の目途が立ち,来年度には完成させられるところまで至っている。授業資料を作成して試行授業で評価することは,来年度の計画とした。
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