2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ電池教材の開発とそれを利用した環境・エネルギー・バイオの多面的教育
Project/Area Number |
20500768
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
三木 功次郎 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80259910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直江 一光 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (00259912)
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Keywords | バイオ電池 / 酸化還元反応 / 電極反応 / 科学教育 / 実験教材 / 金属ナノ粒子 |
Research Abstract |
1.バイオ電池教材の開発 バイオ電池を教材とするために、パン酵母を生体触媒として用いて安全かつ簡便に製作できるバイオ電池の開発を目指し、製作コストの低減についても検討した。昨年度に引き続き、パン酵母によるビタミンK_3(VK_3)の還元挙動について検討を行った。パン酵母濃度依存性についてはパン酵母0.15~0.30g/cm^3で最大となりその前後の濃度では低下した。パン酵母が高濃度になると溶液の粘性が高くなるため、その影響によるものと考えられる。同様にVK_3濃度、エタノール濃度、リン酸緩衝液のpHについて最適条件を検討した結果、エタノール1.85mol/dm^3、VK_3 7.9mmol/dm^3(見かけの濃度)、1.0mol/dm^3リン酸緩衝液(pH7.0)の場合に最もVK_3還元速度が大きくなった。そこで、これらの濃度に調製した溶液を負極側電解液、0.95mol/dm^3K_3Fe(CN)_6水溶液を正極側電解液に用いて、バイオ燃料電池を作製した。電極には、電極表面積を大きくするためにフェルト状炭素(CF)を用いた。電池の容器には使い捨て注射器を用い、正極側と負極側をセロハン膜で隔てた。作製した電池は、開回路時の電圧0.54V、最大出力0.6mW/cm^3(CFの単位体積当たり)が得られ、小型モーターを約1時間駆動させることができ、教材として利用可能であった。 一方、効率よく電流を取り出すために、電極表面の金属ナノ粒子を用いた化学修飾に着目し、検討を行った。生物に対してイナートな金属である金に着目し、調製条件の検討を行うことにより、直径数ナノメーターの水溶性球状金ナノ粒子の調製に成功した。また、負電荷を有する水溶性金ナノ粒子を用い、モデル微生物枯草菌の生育に及ぼす影響を調べたところ、ほとんど影響はみられなかった。 2.バイオ電池を用いた実験カリキュラム バイオ電池を用いた実験カリキュラムに関して、高専レベルでのテキスト作成のために、生体内での電子伝達系によるエネルギー生成系と電池との関連について、授業方法の検討を行った。
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