2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500772
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
岡田 努 福島大学, 総合教育研究センター, 准教授 (50431648)
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Keywords | 科学史 / 理科教育 / 理科教材 |
Research Abstract |
本研究では、学校教育における理科教育に関して科学への興味関心を醸成し、さらにはより高度な知識の習得を目指すべく、通常はエピソードの紹介程度にしかふれられなかった科学史との関わり、特に著名な科学者等が行った再現実験から得られた、当該時代の素材等の物質的な基盤、技術、文化等の歴史的背景との関わりを抽出し、多角的な視点から科学知識の普及を図る手段(教材)を作成することを第一の目的とした。 本年度はこれまでの歴史上の科学者の研究と世界史の関わりに加え、本県内に所在する様々な機関(博物館・科学館・公設の試験研究機関・美術館・図書館等)での科学イベントに係り、「科学」と各機関の特徴を強調するために本研究の成果を活用した。(一例をあげれば、県の農業総合センターの草木染体験の科学教室に企画段階より参加し、芸術・農業・歴史との関連から講師に美術史、農業の歴史などにも触れてもらうような企画を提案した。同様に火山に関する講座でも火山噴火の記録をたどるための古文書や世界各地の記録等の解析の重要性などについて)ここでの実践研究から当初目的に加え、地域の施設の特徴を活用して地域の理科教材(歴史や技術を包括する)の開発のために県内各機関との連携協力を築けたことが本研究の大きな成果であった。 上記のとおり本研究においては学校教育の理科や社会科、科学史 また過年度大きな問題となった高校における「世界史」未履修問題と関わって、上記の成果を活用し学校教育において各教科間とりわけ理科と世界史の密接な関わりを提示できる理科教材を製作については、スーパーサイエンスハイスクール指定校である高校に協力し、1年生向けの特別講座として電磁気学の歴史に関する工作体験を交えた授業を実践した。またそのことは同高校がSSH事業として、理科授業だけでなくひろく他教科との関連を重視した取り組みにもつながった。 本年度は、これまで蓄積してきた「ものづくり」を通した世界史と技術そして科学との関わりから作成してきた理科教材プログラムを小学校(4校)、高等学校(2校、1校はSSH事業、1校は科学部活動)、教員研修(2件)の学校現場の協力を得て実践した。しかし多忙な学校現場ではそもそも本研究の実践等に係る協力を得ることが困難であって、単に研究者本人による授業での実践の他に、小中高教研理科部会等での紹介や協力、県市教委との連携協力が重要となるであろう。今後の課題である。
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