2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳とこころの科学教育:創造的思考力を育む認知体験型学習ツールの開発研究
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20500800
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
池田 まさみ Ochanomizu University, 人間発達教育研究センター, 特任准教授 (00334566)
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Keywords | 脳とこころ / 創造的思考力 / 科学教育 / 体験的理解と知識の融合 / 認知体験型学習 |
Research Abstract |
本研究では、心理学で扱う"認知"事象(例えば、記憶、推論、思考、注意などの認知機能による人間の行動事象)を科学教材に取り入れ、子どもの"科学的思考力の解発"と"創造的思考力の育成"に向けて、"認知体験型学習ツール"(以下「学習ツール」と呼ぶ)の開発を行う。主に中学生を対象として、記憶や思考など、テーマごとに学習ツールを作成し、その学習ツールを用いた授業実践および効果測定に基づいて、最終的に"脳とこころの科学教育"プログラムを教育現場に提案、活用することが目的である。 昨年度までに、以下の4点を遂行した。(1)"クリティカル・シンキング"の育成を中心とした認知体験型授業プログラムの素案作成、(2)その授業プログラムの実践と効果測定、(3)授業プログラム改善のための現場教師へのインタビュー調査、(4)中学生版"クリティカル・シンキング"尺度開発のための調査、である。 主な成果として、(4)尺度開発の調査結果の概要を報告する。探索的因子分析の結果、4因子が抽出され、第1因子は「主体性」、第2因子は「客観的判断」、第3因子は「多様性の許容」、第4因子は「証拠の重視」と命名された。第1因子は、「納得できるまで考え抜く」など、物事に対する主体的な態度を示す因子、第2因子は、「偏りのない判断をしようとする」など、物事の判断の際への客観的な態度を示す因子、第3因子は、「意見が合わない人の話にも耳を傾ける」など、多様な意見を許容する態度を示す因子、第4因子は、「何事も少しも疑わずに信じ込んだりはしない」など、物事の判断に際し証拠を求める態度を示す因子であった。中学生ではクリティカル・シンキングのソーシャルとノンソーシャルの側面は明確には分類されず、物事や対人的な態度の違いとして現れる可能性が示唆された。
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