Research Abstract |
本研究では,プロジェクタを使用した講義において,画面が切り替わるタイミングで学生の書き写しや注視が発生することに着目して,画面の切り替わりと学生の動きの相関を調べることで,学生の講義に対する集中度を評価するシステムを開発している.21年度には,学生がスクリーンの方向を向いているか否かを判定するプログラムを作成し,システムに組み込んだ.また,頭部の動きを検出するプログラムについても,検出漏れや誤検出の影響を減らすために,検出された座標の時系列データから,頭部の位置を判定するように改良した.スライドの切り替えについても,大学ではPCを用いた講義が大半であることから,PCの画面をキャプチャする方式に変更した.正面顔と頭部の動きを統合し,スクリーンの切り替えから頭部が動き出すまでの時間遅れとスクリーン方向を見るまでの時間遅れから,集中度を判定するアルゴリズムを実装した.対象者1名でしか実験ができていないが,撮影条件が良ければ,人間の判断とおおむね一致する結果が得られている. 中学や高校では黒板を使った授業が一般的なので,教師の板書行動を検出して,教示情報として利用する研究も平行して進めた.時刻や天候による部屋の照度変化に対応するため,教師領域を照度変化に強い色エッジを使って検出した.また,文字領域は輝度エッジを領域分割することで検出した.これにより,照度が大きく変わっても安定して板書が検出できるようになった.実験では,人間の判定結果と比較して70%程度の再現率が達成できている.また,大学の講義室で使われている「スライド黒板」に対応できるように手法を拡張した.ただし,教師が速く移動する場合には,教師の輪郭がぶれるためエッジが正しく検出できない問題が残っている.今年度は,高感度のディジタルカメラを使う,暗い場合には赤外線で照明する,などの改良を行い,判定精度を高める.
|