2010 Fiscal Year Annual Research Report
経済学学習環境としての市場実験支援システムに関する研究
Project/Area Number |
20500829
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
内木 哲也 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70223550)
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Keywords | 教育工学 / 情報システム / 実験経済学 / 教材情報システム / 経済学学習支援 |
Research Abstract |
本研究では、経済学を実験的に学習できる環境構築を支援することと共に、経済学教育者および研究者の実験技能を向上し、経済学教育および研究に効果的な実験経済学の方法論に対する理解を深め、広く普及させることができる実験支援システムを開発することを目的とする。支援システムとしては、経済実験の計画から実施、事後のデータ整理までを包括的にコンピュータ化する傾向にあるが、コンピュータ上での実験は設備而で実用的ではなく、教育的効果も得難いため、敢えて口頭実験を活かすためのシステムを開発するものである。 今年度は、これまでの研究成果に基づいて2財の口頭価格形成実験用の支援システムを試作し、教育現場での実地利用により支援システムおよび開発の基礎となったシステムモデルについて評価検討した。また、3年間に亘った本研究全般を振り返り、研究成果を総括すると共に、今後の研究について展望した。 今年度の研究を通して、本研究で開発した支援システムを利用することで、実験計画から実施、実験データ整理までの実験実施者の負担が大幅に軽減できるため、その開発目的であった経済学の專門基礎教育の現場で必要に応じて実験学習の効果を享受できることが検証できた。それと共に、本研究で実施した1財の実験と2財の実験との比較検討を通して、同様な口頭価格形成実験でありながらも、実験がもたらす教育効果は異なるという重要な知見を得ることができた。両者の相違は、経済学の基木原理を広く一般に知らしめることと、経済学の専門基礎教育としての基礎理論メカニズムを学習させることということであり、口頭実験は前者において多大な教育効果が得られるが,後者においてはコンピュータ上で実施する実験と比較して教育効果に顕著な相違が見られなかったことである。これは、教育における場の重要度の差異と捉えられ、今後システムの教育効果を評価する上での重要な視点といえよう。
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Research Products
(5 results)