2010 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀における流体力学の理論的発展に関する歴史的研究
Project/Area Number |
20500873
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 和行 京都大学, 文学研究科, 教授 (60273421)
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Keywords | 力学史 / 流体力学 / オイラー / ベルヌーイ / ラグランジュ / 活力 / 運動方程式 / 座標 |
Research Abstract |
平成22年度は,昨年度の研究の成果として18世紀前半の流体力学の展開およびダニエル・ベルヌーイにおける「力学の原理」を中心に発表を行ない,論文「18世紀前半における力学の発展と流体力学の誕生」にまとめた.今年度の研究としては,第一に,レオンハルト・オイラーの初期から中期にかけての流体力学理論の発展に関する研究を開始し,中期に当たる1750年代後半の一連の論考の分析を着手した.またオイラーの力学理論を継承・発展させたラグランジュに関する研究の準備として,『解析力学』(1787)を力学の歴史的記述を検討した.この記述は,当時の第一線の科学者がどのようにそれまでの力学の状況を捉えていたかを知る上で大きな手がかりとなるものである,とくに流体力学(静水学と動水学)の歴史に関わる部分については,翻訳を公表する予定である 第二に,18世紀前半における,「活力」の保存則と運動方程式という二つの力学の基本的アプローチの関係について,昨年度の研究を継続し,とくに運動方程式の定式化の前提となる空間に固定された座標系概念の成立について検討した.座標系を最初に体系的に用いたのは,1740年代後半のオイラーだったことはすでに指摘されているが,その段階に至る過程はまだ十分には明らかにされておらず,ヨハン・ベルヌーイやクレーロー,また1730年代のオイラーの活動おける座標系の概念について検討した.この研究の成果は,本年5月末に開催される日本科学史学会年会において「18世紀前半の力学における「座標概念」」として発表し,論文にまとめる予定である
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Research Products
(5 results)