2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500886
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
岡村 勝行 Osaka City Cultural Properties Association, 文化財研究部, 副主幹 (70344356)
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Keywords | 考古学 / 文化財 / パブリック・アーキオロジー / 公益 / 民営化 / 意識 |
Research Abstract |
本年度は英国の考古遺産の保存と活用にかかる法制度とその運用、組織体制の研究のため、2度の海外調査を実施した。まず初めに、6/29-7/4にダブリンで開催された世界考古学会議第6回大会(70ヶ国、1,800人参加)において、英国考古学と現代社会に関する多様な研究発表に参加し、情報収集に努めた。また、自らも英国考古学者ドン・ヘンソン氏(英国考古学協会教育部長)と主催した考古学教育セッションや、遺跡調査における艮営化の問題を考えるセッションにおいて、それぞれ発表を行ない、各国の研究者と意見交換を行った。その結果、法制度や行政組織のベースには、「考古学」と「アーキオロジー」の違い、「文化財」と「ヘリテージ」に対する遺跡調査担当者、市民の認識の違いなど、意識レベルの問題が大きく、その違いが文化財の普及教育・活用などの社会発信に密接に関連している状況が浮かび上がった。また、遺跡調査の民営化については、日本で民間調査機関と紹介されている組織の多くは、日本の財団法人に類似しており、単純な比較はできず、日英の「公益」に関する考え方、それを支える法制度の比較も必要であることがわかった。 こうした成果も踏まえ、9/6-15に英国で現地調査を行なった。現地の研究協力者の助力を得て、英国考古学者協会(IFA)、英国考古学協会(CBA)、ノリッジ考古学研究所、ヨーク市のDIG、オックスフォード考古学財団、ストーンヘンジ調査団などにおいて、ヒヤリングを実施し、調査体制の課題、民営化の実態(PPG16の実態)、法規改正の動き、文化財活用の実践例などを中心に情報収集を行なった。以上の現地で得た情報の分析を進めつつ、さきの日英のパブリック考古学の違いの起点となるであろう、研究者の認識と情報発信の関係の見通しについて、専門雑誌で公表した。
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Research Products
(6 results)