2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500886
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
岡村 勝行 Osaka City Cultural Properties Association, 大阪市文化財協会, 副主幹 (70344356)
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Keywords | 考古学 / 文化財(ヘリテージ) / パブリック・アーキオロジー / 活用 / 価値 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度は、英国の考古遺産に関わる法制度や組織体制、考古学教育のあり方、社会への考古学・文化財情報の提供方法、マスメディアの影響、考古学者・市民の意識の変化、世界同時不況と民営化の関係など「考古学と現代社会」に関わる項目について、ロンドン大学パブリック考古学講座、野外考古学者協会(IFA)、英国考古学協会(CBA)、ケンブリッジ大学考古学財団などの英国在住研究者5名、日本側研究者3名の研究協力者の協力を得て、日本との相違点の整理作業をすすめ、68項目からなる比較表を作成した。この包括的な調査表は、基礎的な統計データだけでなく、マスメディアやコミュニケーションなど、従来抽出することが困難であった項目を積極的に取り上げた点に特徴がある。 この成果を携えて、7月に英国で現地調査を実施した。さきの研究協力者8名が一同に介し、「日英の考古学と現代社会」と題したワークショップを開催した。それぞれの国の事例報告とともに、共同作成した比較項目に沿って意見交換した結果、両国の状況、違いをより明確に抽出、可視化させることができ、さらに多くの差異には、「考古学」と「アーキロージー」、「文化財」と「ヘリテージ」の基本的な違い、それぞれへの重点の置き方など、研究者、市民とも深く意識・認識レベルの違いが大きく影響していることも確認できた。現地調査では、日本の遺跡の保存状況が類似するアングロサクソン期と注目度の高いローマ期の遺跡を調査し、英国の多様な考古遺産の活用方法、地域経済の活性化と観光化(世界遺産登録化)、考古遺産と経済、地域コミュニティを考察する材料を得た。 以上の現地で得た情報の分析を進めるとともに、日英比較の成果を踏まえて、日本の考古遺産マネージメント、パブリック考古学の特徴について専門雑誌、図書、学会で公表した。
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Research Products
(4 results)