2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500886
|
Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
岡村 勝行 財団法人大阪市博物館協会, 大阪文化財研究所, 副主幹 (70344356)
|
Keywords | パブリック・アーケオロジー / 考古学 / 文化遺産(ヘリテージ) / 活用 |
Research Abstract |
本年度は、研究のまとめに向けて、日英のパブリック考古学の構造的な相違をより鮮明にするため、過去2年の調査で収集した、遺跡保存・調査に関する法制度、規則、組織体制、社会への情報の提供方法、考古学の教育制度、カリキュラムなどに関する基礎データの比較(現状で68項目)の精緻化、具体事例の充実化を行い、さらにPPGI6に代わるPPS5の導入、経済危機の考古学・文化遺産マネージメントへの影響など最新の情報獲得、その分析を行った。 7月の渡英では、英国で実践的かつ充実した教育内容で定評があるニューカースル大学文化遺産学部、およびニューカースル都市州において、ヒヤリングを実施し、前者ではインターンシップや講師派遣を通じた大学と地域博物館・文化遺産諸施設との密接な連携、人材育成の好例を収集し、後者では年間約1万件の開発申請(オンライン)から、試掘調査、本格調査、民間調査機関の入札へと至る手続き、調査報告書の実態、発掘の質の確保などの課題を調査した。ここでは20年ぶりに改正され、2010年5月に始まったPPS5が、開発許可の厳格化、現地保存の増加が予測されており、今後、日本の同様の諸規則との比較分析が必要となる。 同大学では、英国考古学者に向けて、日本の考古遺産マネージメントのプレゼンテーションを中心としたワークショップを開催した。意見交換によって、「考古学」と「アーケオロジー」、「文化財」と「ヘリテージ」、「歴史」と「過去」の違い、「官」と「市民」以外のパブリックに位置する英国考古学協会やアマチュア研究者の存在など、パブリック考古学の基盤にある意識、観念、関係の相違が明らかになり、構造的な理解を深めることができた。 以上の現地で得た情報により日英比較の分析を進め、成果の一部について、国際シンポジウムにおいて公表した。
|
Research Products
(2 results)