2009 Fiscal Year Annual Research Report
ため池卓越地域におけるハザードマップ作成に関する研究
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20500894
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 和子 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (00223553)
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Keywords | 行政と住民との連携 / 石川県七尾地区 / 岡山市備前市長谷下池 / 扇状地 / 農村工学研究所 / ハザードマップ作成支援ツール |
Research Abstract |
行政と地元住民との連携によるハザードマップ作成のあり方を探るために、そのような方式でのハザードマップ作成の成功事例と思える石川県七尾地区の事例を調査し、住民に最近の被災経験があることと、行政の担当者の熱意および独立行政法人農研機構農村工学研究所の技術的支援が成功の要因であることを明らかにした。 また、2004年8月に決壊した岡山県備前市の農業用ため池である長谷下池について、決壊による親水範囲と洪水流の流動および地形との関係を現地調査により解明した。その結果は、申請者が既にこれまでの研究により指摘している、ため池の決壊による親水範囲は、ため池の排水河川が形成した扇状地部分であることと同様のものであった。しかし、今回の備前市の事例では、扇状地内の築堤や河道固定などによる大規模な人工的地形改変が親水範囲に影響を及ぼすことが明らかになった。 独立行政法人農業・食品産業技術研究機構農村工学研究所のため池決壊ハザードマップ支援ツールは、市販の国土交通省国土地理院の2万5千分の1数値地図を元にした、比較的簡便で安価な方策として評価できる。京都府や岐阜県などで行われている民間業者に委託した簡易測量に基づくハザードマップ作成方法よりは4分の1程度の価格で作成でき、将来的には都道府県にシステムが利用できるような仕組みをめざすため、便利である。石川県七尾地区でそのシステムによるハザードマップを予察的なハザードマップとして住民に提示して、住民と地元行政がそれを地域の実情に即して修正して方法がとられたが、これはより良いハザードマップ作成に有用な方法と思える。今回、岡山県備前市の長谷下池決壊に関して、申請者の現地調査によるハザードマップと農村工学研究所のシステムによるハザードマップを比較検討したところ、後者は人口改変による影響までは示せなかったが、排水河川下流域における浸水状況は実態とよく合致しており、このようなシステムによるハザードマップが普及すれば、被害の軽減や早期避難に役立つことがわかった。
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Research Products
(4 results)