2009 Fiscal Year Annual Research Report
近畿三角帯とその周辺地域の中期更新世テクトニクスと地形発達
Project/Area Number |
20500902
|
Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 茂弘 The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo, 自然・環境評価研究部, 主任研究員 (50301809)
|
Keywords | 近畿三角帯 / 活断層 / テクトニクス / 地形発達 / 中期更新世 / 火山灰層序 / ボーリングコア / 大山火山 |
Research Abstract |
中期更新世以降における近畿三角帯北西縁へのひずみ集中と北西ないし西側低下の傾動ブロック運動の進行,およびそれにともなう同帯北西側区域のゆるやかな沈降という第四紀テクトニクスと地形発達のシナリオを,福知山盆地・氷上盆地・三方低地などで得られたボーリングコアの火山灰層序・古地磁気層序を明らかにし,盆地や平野地下の堆積物の堆積年代と堆積速度の変化や段丘層の形成年代を推定することから検討した.福知山盆地で採取した32mコアからは,大山火山起源の中期更新世テフラepmに対比可能な火山灰と,その上下に短期間の逆帯磁層準が見出された.氷上盆地100mコアでは,ATとK-Tzの2層の広域テフラ降灰層準が認定されて0.1~0.2m/千年の平均堆積速度が求められ,約15~20万年前に細粒層が卓越する堆積環境に変化したことが明らかになり,氷上盆地の上流に位置した福知山盆地において,約15~20万年前に由良川-加古川水系間において流路変更が生じた結果と解釈された.三方低地で掘削された60mコア等の分析からは,後期更新世以降の三方断層帯の活動にともなう地震性沈降とその繰り返し周期の詳細が判明した.また約15万年前以前の中期更新世に堆積した三方礫層との不整合関係から,こうした沈降が後期更新世以降に卓越したと推察された.これらのことから,上記の第四紀テクトニクスと地形発達のシナリオは大局的には成立しているが,中期更新世後半の約15~30万年前に丹波山地以北の近畿三角帯北西縁においてテクトニクスの転換(活断層の発現)が起こった可能性が指摘できる.
|
Research Products
(3 results)