2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20509002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 猛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 客員共同研究員 (70509851)
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Keywords | 神経科学 / シグナル伝達 / 発生・再生 / 脳・神経 |
Research Abstract |
マウス嗅神経細胞において、cAMPシグナルは軸索投射位置のglobalな位置決めと、localな軸索の選り分けという異なるステップを制御している。それぞれのステップでは、cAMPシグナルは異なる種類の軸索ガイダンス分子の遺伝子発現を異なる様式で制御している。同じcAMPというセカンドメッセンジャーがこれら二つのステップをどのように区別して制御しているのかを遺伝学的に調べたところ、globalな位置決めには幼弱な嗅神経細胞で発現するGsが3量体Gタンパク質として使われており、一方、より成熟した嗅神経細胞においてはGolfが使われているということが判明した。培養細胞の系で様々なGsとGolfの活性の特性について調べたところ、Gsはbasal activityが高く、Golfは低いことが明らかとなった。更に、様々な嗅覚受容体におけるbasal activityを測定したところ、嗅覚受容体の種類毎に固有のbasal activityを有している事が明らかとなった。これらの結果は、幼弱嗅神経細胞において、嗅覚受容体がリガンド非依存的なbasal activityによってGsを活性化し、種々の軸索ガイダンス分子の発現制御を行っている可能性を示唆している。 培養細胞の系でリガンド非存在下でのbasal activityを測定すると嗅覚受容体ごとに異なるレベルの活性が見られることから、これがGs依存性のシグナルの実体である可能性である。一方、Golf依存性のシグナルについては、現在嗅神経細胞のin vivoでのカルシウムイメージングを行う為のGCaMP3マウスが現在樹立できつつあり、近く解析できると期待している。
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