Research Abstract |
本年度は、昨年度から引き続き、主に、地図コンテンツの高度化手法についての研究を実施した。具体的な手法として,モバイルWebマップサービスに適した周回道路探索における高速化手法とその応用を提案した.周回道路探索とは,道路ネットワーク地図において,注目する任意の座標を取り囲む最小の道路ネットワークである周回道路を獲得する手法である.また,周回道路で囲まれた領域は区画であるため,モバイルWebマップサービスにおいて従来困難であった区画に基づく処理が可能になる.しかしながら,従来の手法をモバイルWebマップサービスに適用するためには,処理速度等の点で問題があり実現は困難であった.そこで,本研究においては,あらかじめ効率よく全ての道路に対して周回道路を計算し,データベースに格納しておくことによって,高速に周回道路や拡大周回道路を獲得する手法を提案した.さらに,隣接周回道路テーブルを用いることによって,効率的なインデキシング作成手法を提案する.周回道路の検索時間やインデキシング生成時間などの評価尺度によって,提案手法の有効性を検討した.これにより、既存の道路データベースから周回道路データベースを構築することによって,周回道路と拡大周回道路を高速に獲得可能な手法を提案した.これにより,周回道路探索手法は51倍の高速化を実現し,拡大周回道路探索も16倍~25倍の高速化を実現した.また,道路データベースは巨大であるため,周回道路データベースを構築することは多大な時間がかかるが,隣接周回道路テーブルを作成することによって,従来手法に比べて3.9倍高速に周回道路データベースを構築することが可能になった.これにより,区画や地域を構成する周回道路に応じて,自動的にFocusの形状や位置や縮尺を制御することが可能になった.特に,スマートフォンなどのモバイルマップ環境においては,複雑な操作が困難であるため,本手法は有効である.
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