2008 Fiscal Year Annual Research Report
抑制力に焦点を当てた運動修正技能向上のための認知トレーニング開発
Project/Area Number |
20509004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中本 浩揮 Kagoshima University, 体育学部, 講師 (10423732)
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Keywords | 認知トレーニング / 抑制機能 / 熟達化 / 一致タイミング / 運動修正 / 再プログラミング / 事象関連電位 / 野球 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 優れたスポーツ選手の特徴の一つである「状況の変化に応じて実行中の運動を柔軟に修正できる能力」を向上させる認知トレーニングを開発することである. そのため, 本年度の研究においては, 熟練者の優れた運動修正技能を支える認知的メカニズムを明らかにするために, 運動の再プログラミング過程(抑制と再構成)に焦点を当てて脳活動の測定を脳波により行った. まず第一実験において, 急激な加速と減速を伴う一致タイミング課題では, 野球熟練者は減速状況においてのみ初級者よりも顕著に高いパフォーマンスを示し, この際に右前頭部優位の高い脳波活動を示した. この部位は, 反応抑制機能を司る脳領域であることから, 熟練者の減速に対する優れた運動修正技能が高い抑制機能によって可能になっていることが推測された. 一方で, 行動指標の観察では熟練者は加速時においても高い運動修正技能を示したが, 加速においては右前頭部優位な脳波活動は観測されなかった. このことから加速と減速では運動を修正するために異なる二つの認知プロセスが作用することが推測された. 第二実験では, 減速状況の一致タイミング課題に焦点を当て, 脳波より推測された右前頭部の脳活動, すなわち, 反応抑制機能が運動修正パフォーマンスに関連しているかを直接調査するために, 運動修正課題中に, 頭部磁気刺激(TMS)を右下前頭回(r-IFG)に施した. その結果, r-IFGへのTMSは, 野球選手の運動修正パフォーマンスを顕著に低下させたが, 初級者にその影響は見られなかった. このことから, 巧みな運動修正制御行うためには, 抑制機能を活用した運動制御方略の獲得が必要になることが明らかになった.
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Remarks |
基盤C
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Research Products
(2 results)