2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液浄化によりアルツハイマー病脳アミロイドを除去する治療システム基本構成の創成
Project/Area Number |
20509008
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
北口 暢哉 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (70508077)
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Keywords | アルツハイマー病 / 血液浄化 / アミロイドβ蛋白 / Aβ / 吸着 / 透析 |
Research Abstract |
1. 透析患者における血中Aβ除去量の解析 1) 透析器のみで血液浄化した非糖尿病患者37例(68.9±4.1歳)を解析した。 ・4時間施行時において、透析器前後でAβ_<1-40>は63.9±14.4%、Aβ_<1-42>は51.6±17.0%除去され、透析器が高いAβ除去性能をヒトで示すことがわかった。 ・全身循環血液中のAβ濃度は、4時間透析でAβ_<1-40>は51.1±8.9%、Aβ_<1-42>は32.7±12.0%低下した。速度論的解析から、血液浄化施行中には血液外組織(脳とは限らない)から血中へ、Aβ_<1-40>は32ng/min、Aβ_<1-42>は3.0ng/minの流入(湧き出し)があることがわかった。この湧き出しは血液浄化施行終了とともにおよそ1/100程度に減少し、血液浄化がトリガーとなって血液へのAβ湧き出しが促進されている事が示唆された。 2) β2マイクログロブリン除表カラム(HDC:C_<16>-セルロース)で血液浄化した非糖尿病透析患者5例(65.6±7.1歳)を解析した。HDCカラム前後でAβ_<1-40>は50.3%、Aβ_<1-42>は38.2%除去された。 2. Aβ吸着材HDCの除去メカニズム ・様々な鎖長のアルキル基をシリカまたはセルロース担体に結合させたビーズを用い、表面を吸着等温線、XPS、近赤外線などで解析したところ、表面の自由水と吸着水が分離でき、「最低限の吸着水を有し、適度な疎水性を有する構造」がAβ吸着には必要であることがわかった。(大阪府大工 竹内雅人准教授との共同研究) 3. 中空糸によるAβ除去メカニズム ・透析、全濾過、吸着の検討から、Aβ除去には、中空糸内面および膜厚方向の吸着の関与がある事が示唆された。 4. Aβオリゴマーの測定 ・血漿中のAβオリゴマーはウェスタンブロットでは明確な確認ができなかった。ELISAを検討中。 5. 透析患者の認知能力(MMSE),脳病変(CT)の解析を行った。高い血中Aβ濃度にも関わらず認知能力、および脳組織は比較的保たれており、長期透析患者の方がMMSEが高い傾向があった。 以上から、Aβ除去を含む血液浄化が認知機能の維持、改善に寄与する可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)