2009 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代における生業・交易圏の復元研究-動物遺存体の産地同定を中心として-
Project/Area Number |
20509010
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
石丸 恵利子 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, プロジェクト研究員 (50510286)
|
Keywords | 考古学 / 動物遺存体 / 安定同位体 / 産地推定 / 交流 / 流通 / 文化財科学 / 食文化 |
Research Abstract |
本年度は、研究対象としている地域のうち昨年度までに実施できていなかった関東地方での調査を行い、6機関(千葉県、野田市、流山市、我孫子市、明治大学博物館、明治大学考古学研究室)12遺跡(六通貝塚、姥山貝塚、野田貝塚、山崎貝塚、大崎貝塚、庄九ケ谷貝塚、三輪野山貝塚、下ケ戸宮前遺跡、加曽利貝塚、台方花輪貝塚、八木原貝塚、部室貝塚)の動物遺存体資料(魚類、哺乳類)を収集した。これで本研究の根幹となる資料については、一部の植物サンプルを除いて採集が完了した。これらの一部で分析をすすめ、その結果については、日本考古学協会や日本文化財科学会などの多くの機会で公表した。また、韓国やポーランドでもその成果の一部を発表する機会をえて、日本のみならず、あらゆる国や地域でも研究の可能性があることを紹介した。さらに、考古学および文化財科学の分野をこえて、日本哺乳類学会でも発表をおこない、過去と現在を結ぶ研究視点としての意義と展望を指摘した。 なお、これまでの分析結果から、イノシシとニホンジカのエナメル質および現生植物のストロンチウム同位体分析によって、狩猟域を推定する良好な基礎データが得られており、貝類についてもその基礎実験をほぼ終了して有効性を確認した。これまでに中国地方と東海地方の遺跡において測定がほぼ完了した(一部データの補足が必要)。今後、これまでに収集できている資料の測定をすすめることで、日本で始めての試みである、動物遺存体の産地推定から狩猟域や交易圏を復元し、日本列島における人間の移動や交流の様相をより具体的に議論することが可能になると考えられる。 また、研究の進展にともない、他の地域や機関での資料提供が可能となり、現在、北海道や東北(青森、宮城)、九州(熊本、佐賀、鹿児島)、沖縄などにも研究が展開しつつある。
|