2009 Fiscal Year Annual Research Report
シベリア原野・森林火災の最近10年の変動と温暖化との相互影響
Project/Area Number |
20510001
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
串田 圭司 University of Toyama, 極東地域研究センター, 准教授 (90291236)
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Keywords | 原野・森林火災 / 地球温暖化 / リモートセンシング / シベリア / 北方森林 |
Research Abstract |
シベリアの森林火災には、林床と樹冠が燃えるか枯死する樹冠火と林床のみが燃える地表火がある。地表火が火災全体の50~90%を占め、残りが樹冠火である。燃焼時の二酸化炭素放出の平均値は、地表火が2.3tC/haであるのに対し、樹冠火は23tC/haである。しかしながら、これまで観測衛星によりこれらの区別はされなかった。燃焼時の二酸化炭素放出や森林の回復過程を考えると、樹冠火と地表火を区別した解析が求められる。2002年5月から9月のMODIS画像について、Landsat ETM+画像と合わせた分光ミクセル解析により、土地被覆カテゴリーの面積率を見積り、樹冠火、地表火の起こった場所の地理的分布を得た。これらが火災後の画像の判読であるのに対し、火災時の画像による解析も行った。MODISの原野・森林火災検知アルゴリズムMOD14は、消火活動に広く用いられてきた。MOD14は1時期の画像の空間的な温度差を元にしているのに対し、時系列画像の温度差の検知を元にしたアルゴリズムを提案した。モデル解析の結果、本アルゴリズムがMOD14より検知能が高い場合が広く存在することを示した。本アルゴリズムとMOD14との比較を東シベリアの火災について行ったところ、本アルゴリズムが実際の火災の内61%を検知したに対し、MOD14は33%にとどまった。本事例では両アルゴリズムとも誤検知はなかった。直線上の火災前線を持つ火災については、本アルゴリズムの方が優れていることを示唆した。
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