2008 Fiscal Year Annual Research Report
リモートセンシングと生物光学モデルを結び付けた高濁度水域の水質監視手法の開発
Project/Area Number |
20510003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松下 文経 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (80361319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 武彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (90124354)
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Keywords | laboratory-SRS / satellite-SRS / 生物光学モデル / シミュレーション / 2時期の衛星画像 / 同一の推定モデル |
Research Abstract |
SDA法に基づいた水質濃度の推定モデルは、対象とした水質濃度の情報のみを含むC値をモデルの独立変数として利用しているため、室内実験用、及び衛星画像用の各エンドメンバーのSRSをそれぞれ適切に選定できれば、実験室で作成した推定モデルがそのまま衛星画像に適用できると考えられる。現地調査日(2006年2月18日)の霞ヶ浦には珪藻が優占していたことから、珪藻の培養株と霞ヶ浦の底質を用いて、Chl-a,NPSSの推定モデルを事前に作成じた。室内実験用のエンドメンバーのSRS(以下laboratory-SRSと呼称)には、容器の影響を取り除くために、同様の小型容器中の植物プランクトン溶液、及びNPSS溶液の反射スペクトルを用いた。一方、衛星データ解析用のSRS(以下satellite-SRSと呼ぶ)は、現実には測定困難であることから、今回は生物光学モデルを用いて算出した。パラメーターは文献値から引用し、霞ヶ浦の特長を加味するため、生物光学モデルによってシミュレーションした霞ヶ浦の反射スペクトルと現地で観測した反射スペクトルを比較することによってsatellite-SRSを補正した。推定したsatellite-SRSを用い、SDA法によって衛星データからCp、Cn値を算出し、室内実験によって作成したモデルを用いてChl-a、NPSS濃度を推定した結果、Chl-a、NPSS濃度の推定精度は相対平均2乗誤差で表すと、それぞれ±10.5%、±15.9%となった。更に、同様の推定モデル、及びsatellite-SRSを用い、同じく珪藻が優占していた過去の衛星画像(1994年4月22日)からChl-a濃度を推定した結果、Rel.MSEは±7.3%となった。以上の結果より、SDA法は高濁度湖沼に適用可能であることが分かり、更に、過去の衛星画像に対しても同様の推定モデルを利用することができるので、推定モデルは頑健であると言える。
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