2010 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系に対するガス状汚染物質乾性沈着の多角的評価
Project/Area Number |
20510004
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
原 宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (60106226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 園子ドロテア 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60397015)
野口 泉 北海道立総合研究機構 環境科学研究センター, 環境保全部, 研究主幹 (10442617)
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Keywords | 亜硝酸 / フィルターパック法 / ポリアミドろ紙 / アーティファクト / 乾性沈着速度推計プログラム |
Research Abstract |
樹高20mの森林の樹冠上空10mの高さから、森林内部を通って地上0mまでのオゾン濃度のプロファイルを種々の条件下で測定し、以下の結論を得た:(1)オゾンの森林に対する乾性沈着は樹冠上空から樹冠への沈着が最も大きい、(2)その濃度の鉛直プロファイルは、高度の対数に対して直線関係があり、高度10mと1mで折れ曲がり、当該高度を境界とする上層、中層、下層に分かれる、(3)濃度勾配の大きさは葉面積指数といい対応があり、葉面への直接沈着が示唆された、(4)下層での濃度勾配は、気象データ等から推定した下草・土壌の表面抵抗の変動パターンといい一致が得られた。(5)森林外の高さ1mの草地2地点において高さ2mまでの6点においてオゾン濃度プロファイルを測定し、さらにそのうちの1地点の草を刈り同様な測定を行い、草による沈着を示唆するプロファイルが得られた。(6)また、森林内での濃度プロファイルを昼夜別に測定し、以下の濃度勾配の変化を得た:上層;昼>夜、中層:昼<夜、下層:昼>夜。これは葉の気孔開閉の日変化の影響と解釈した。 以上により、森林へのオゾンの乾性沈着は以下の3つの過程からなると結論付けた:(1)樹冠上空から樹冠面への沈着、(2)樹木の葉への沈着、(3)森林内の下草・土壌など地表面への沈着。 また、ガス成分の乾性沈着評価のためのフラックス法の精度向上のため、以下のことを実施した: (1)オゾン生成とも関わる亜硝酸ガスを測定するフィルターパック法の精度評価のため、亜硝酸ガスの測定方法の検証とポリアミドろ紙における硝酸および亜硝酸ガスのアーティファクトについて検討し改良法を提出した。(2)濃度から沈着量を評価するための乾性沈着速度推計プログラムを改訂しVer.4-1を公開した。
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[Journal Article] 北日本における亜硝酸ガス濃度と窒素酸化物由来成分の挙動2010
Author(s)
野口泉, 林健太郎, 加藤拓紀, 山口高志, 秋山雅行, 大塚英幸, 酒井茂克, 高木健太郎, 深澤達矢, 柴田英昭, 藤沼康実, 三枝信子, 下鳥稔, 遠藤朋美, 家合浩明, 松田和秀, 角皆潤, 原宏
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Journal Title
大気環境学会誌
Volume: 45
Pages: 153-165
Peer Reviewed
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[Presentation] わが国における大気中HONOの挙動2010
Author(s)
野口泉, 山口高志, 友寄喜貴, 松本利恵, 井上広史, 中谷泰治, 野中卓, 桑尾房子, 林健太郎, 松田和秀
Organizer
第51回大気環境学会
Place of Presentation
大阪府豊中市大阪府立大学
Year and Date
2010-09-10
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