Research Abstract |
本年度は,地球環境観測データ活用のための相互参照可能な現象アーカイブスシステム実現のために必要な基礎的技術検討として,次の3つの項目の研究開発を行った. 1. 汎用データフォーマットの検討:従来の研究成果より,特徴分析が進んでいるあけぼの衛星によるVLF帯電磁波動スペクトルデータに焦点を絞り,8秒平均値をサンプルデータとして登録した(2.1GByte).最終的には全観測データ(15TByte)を取扱うため,できる限り容量を抑え,さらに,観測データの特性を生かした上でデータの互換性を確保できるように,自己記述型汎用データフォーマット(CDF)を導入した. 2. 現象の抽象的な特徴の定量化に基づく類似現象検索法の開発:観測された各種自然現象の抽象的な特徴を定量化し,検索キーとして類似現象をデータベースから抽出する方法を検討した.前項で述べたCDF形式のあけぼのVLFデータに対し,研究者が解釈に用いる時間・周波数変化などの物理量を特徴量データベースとして利用し,ユーザが指定した観測データと類似データを検索・閲覧できる方法を提案した.さらに,膨大なデータに対し,同手法が適用できるよう,検索アルゴリズムの高速化を図った.これらの検討に基づき,Webブラウザで利用できる類似現象検索システムを実装し,その有用性を実証した. 3. 分散管理されているデータ・資料の連携:国内外の研究機関で分散して蓄積しているデータや資料を管理,連携するためのシステムとして,多様なアクセス制限に対応可能なWeb-DB管理システム(公開用Web-DBシステムの一元的な管理・公開を可能とする汎用プラットホーム)とデジタル学術情報リポジトリ(写真・動画などのコレクションや実験資料などの各種研究資料を対象とした汎用プラットホーム)のプロトタイプシステムを開発し,1.で登録したデータをはじめ複数種のデータに適用することで有用性を実証した. 次年度は,この研究成果を基に,抽象的特徴表現法の評価,現象目録化のための分類指標の検討,および,データの相互参照方式の開発,システムの詳細設計,実装を行う予定である.
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