2009 Fiscal Year Annual Research Report
微量金属元素同位体を用いた北極圏の陸域および縁海の環境変動解析の試み
Project/Area Number |
20510008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
淺原 良浩 Nagoya University, 環境学研究科, 助教 (10281065)
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Keywords | 同位体 / 海洋科学 / 環境変動 / 地球化学 / 北極圏 |
Research Abstract |
河川から海洋に流入する陸源物質は沿岸海洋の生態系をコントロールする重要な要因の1つである。本研究では、生物生産の高いベーリング海をモデルフィールドとし、アラスカを流れる大河川ユーコン川などからの陸源物質の流入の時系列変化とその変動要因を探るため、海洋堆積物中の微量金属元素同位体の利用を試みる。特に、沿岸海洋に流入する陸源物質の起源・流入量の指標としてSr、Nd同位体の利用をし、北極圏の陸域の環境変化が沿岸海洋に与える影響を探る。 平成21年度までに、(a)堆積物中の鉄マンガン酸化物および炭酸塩(溶存態起源)と、(b)堆積物中の珪酸塩砕屑物の、それぞれのSr、Nd同位体を分析し、(a)、(b)のデータの対比から、海水起源(溶存態起源)のSrやNdの同位体組成が示す地球化学的な意味を検討した。この海水起源成分に関する研究成果の一部は国際誌Geologyに投稿、受理され、今年度に掲載される予定である。また、現世ベーリング海表層堆積物中の珪酸塩砕屑物のSr、Nd同位体のマッピング(地域分布解析)、さらに、北極圏陸域の大陸氷河や永久凍土の融解による表土流出と沿岸海洋への流入・堆積の関連について検討するため過去100~200年間のベーリング海堆積物の同位体変動(経年変化)解析も進めた結果、ベーリング海への陸源物質の起源、供給量の変化の詳細が明らかとなった。特に、北極圏の年平均気温の変化と、ベーリング海に流れ込む陸源物質の間に関係が見られたことは新たな発見である。これらの研究成果について、国際誌への投稿準備を進めている。
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Research Products
(4 results)