2010 Fiscal Year Annual Research Report
温室効果ガスCHF3,CF4,SF6の逐次的光分解過程の解明
Project/Area Number |
20510010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 啓晃 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90249954)
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Keywords | 温室効果ガス / トリフルオロメタン / パーフルオロメタン / 六フッ化硫黄 / 光分解 / 軟X線 / 2次元検出器 / 運動量イメージング法 |
Research Abstract |
本研究では、地球温暖化係数の特に大きい温室効果ガスであるトリフルオロメタン(CHF3),パーフルオロメタン(CF4),六フッ化硫黄(SF6)の内殻イオン化後のクーロン爆発による分解過程の分岐比を明らかにするとともに、分子のどの結合とどの結合がどのような順番で切断されていくのか(逐次的解離過程)を明らかにすることを目的としている。 内殻イオン化後のオージェ崩壊などにより生成した分子の多価イオンからは、"クーロン爆発"が起こり、複数のイオンが同時に生成する。これらのイオンの飛行時間と2次元検出器上での検出位置から、イオンの質量と解離の際の初期運動量ベクトルを求めた。本年度はCHF3とCF4について、励起エネルギーをさまざまに変化させて実験を行った。 得られた実験結果を、"クーロン爆発モデル"を仮定した理論計算による結果と比較することによって、CHF3+++からのクーロン爆発過程では、従来から予測されていた"同時三体解離過程"よりも、解離反応の途中に解離断片の自動イオン化を伴う"逐次的なクーロン爆発過程"が主に起こっていることが分かった。一方、CF4+++からのクーロン爆発過程では、"同時三体解離過程"が主に起こっていることが分かった。この解離メカニズムの違いは、分子の対称性の違いCHF3 (C3v) v.s. CF4 (Td)に起因しているものと考えられる。 これらの結果は、国内学会(放射線化学討論会、日本放射光学会、日本物理学会)や国際学会(The 37th International conference on Vacuum Ultraviolet and X-ray Physics)で発表して内外の研究者たちと議論を深め、査読のある欧文誌に原著論文として投稿するため現在取り纏めを行っている。
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Research Products
(4 results)