2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物共存系におけるハロカーボン類の高速分析法の開発と共存系での動態解析
Project/Area Number |
20510013
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 University of Shizuoka, 環境科学研究所, 教授 (10228413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (10285190)
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Keywords | ハロカーボン / 微量ガス / ダイナミックヘッドスペース法 / GC-MS / 植物プランクトン / バクテリア / 共存培養 |
Research Abstract |
本研究の目的は、世界中に広く分布するプリムネシオ藻の一種であるEmiliania huxleyiを中心に、植物プランクトン-バクテリアの共存培養におけるハロカーボン生成を調べ、ハロカーボン生成におけるバクテリアの影響やハロカーボンの生成機構について明らかにすることである。 平成20年度は、共存系等の粘性の高い試料から揮発する微量ガスを高感度に分析するために、ダイナミックヘッドスペース法による分析システムを検討した。従来のバイアル瓶中の気相部分の一部を採取しガスクロマトグラフに導入するヘッドスペース法とは異なり、バイアル瓶を撹拌して気相をパージしながらトラップ管に捕集して、加熱脱着後、ガスクロマトグラフ質量分析装置へ導入する本法では、気相を濃縮できるので、ヘッドスペース法よりも高感度な検出が期待される。 実験では、濃度を0,10,100,300,1000pmol/L(n=3)に調整した15種類の微量ガスを含む水溶液について検量線を作成したところ、良い直線性が得られた(R2=0.9858〜0.9998、平均R2=0.9980)。検出限界は、ブランクをn=15で測定し、その標準偏差を3.52倍して算出した結果、2.6〜40.2pmol/L(平均=14.5pmol/L)となった。従来のヘッドスペース法は、一般に検出限界がサブppbオーダー(0.lppb=約500pmol/L)であるので、ヘッドスペース法よりも1桁程度、高感度検出が可能であることがわかった。本法を、培養サンプルや環境試料の微量ガス分析に適用して、良好な結果が得られた。これにより、パージ&トラップ法では測定が困難だった粘性の高いサンプルの濃度を測定することが可能となった。また、気液平衡状態に達するまで多くの時間を要するヘッドスペース法と比較した場合、本法では分析時間の短縮が可能となった。本法は、試料の気相部分を扱うので測定対象が幅広く、感度がヘッドスペース法より優れており、今後、様々な分野での利用が期待される。
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