2009 Fiscal Year Annual Research Report
微生物共存系におけるハロカーボン類の高速分析法の開発と共存系での動態解析
Project/Area Number |
20510013
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 Nihon University, 文理学部, 教授 (10228413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 准教授 (10285190)
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Keywords | ハロカーボン / イソプレン / ダイナミックヘッドスペース法 / ガスクロマトグラフ質量分析装置 / 植物プランクトン / バクテリア / 共存 |
Research Abstract |
自然界で生成される微量ガス(ハロカーボンやイソプレンなど)はオゾン濃度に影響を与えるが、その濃度や生成量の知見は少ない。本研究の目的は、世界中に広く分布するプリムネシオ藻の一種であるEmiliania huxleyiを中心に、植物プランクトン-バクテリアの共存培養におけるハロカーボン生成を調べ、ハロカーボン生成におけるバクテリアの影響やハロカーボンの生成機構について明らかにすることである。 平成21年度は、共存系等の粘性の高い試料から揮発する微量ガスを高感度に分析するために、ダイナミックヘッドスペース法(DHS法)によるCH_3Br(沸点:3.6℃)を含むハロカーボン(13化合物)の分析条件を検討した。バイアル瓶を振とうして気相をパージしながらトラップ管に捕集して、加熱脱着後、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)へ導入する本法では、気相を濃縮できるので、従来のヘッドスペース法よりも高感度な検出が期待される。また、同一サンプルをDHS法と従来法であるP&T(パージ&トラップ)法で測定し、DHS法の妥当性を確認した。CH_3Brのスタンダード水溶液をDHS-GC/MSで測定した結果、80-1600pmol/Lの間で直線性がみられ、再現性も良好であった(CV=9.4%、n=3)。同一サンプルをDHS法とP&T法とで測定した結果、濃度が一致しDHS法の妥当性が確認された。また、Emiliania huxleyiの単離株(米国ビゲロー海洋研究所、CCMP373株)を温度勾配恒温器(18・20・22・24・26℃)で培養し、微量ガスの生成量を測定した。測定の結果、イソプレン濃度は18~20℃では11日、22~26℃では13日に最大となり、24℃において最も高かった(1280pmol/L)。単位クロロフィルaあたりのイソプレン生成速度は平均で1.2±0.5pmol/μg Chl.a/dayであった。この結果はShaw et al. 2003の報告値(1.0pmol/μg Chl.a/day)と同程度であり、培養と測定の妥当性を示している。 平成22年度は、DHS法による分析条件をさらに検討するとともに、引き続きE.huxleyiの培養実験およびバクテリアとの共存培養を行い微量ガスの生成条件を調べていく。
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Research Products
(2 results)