2008 Fiscal Year Annual Research Report
物理・化学特性に立脚した天然水中溶存有機物の分画とFT‐ICRMSを用いた同定
Project/Area Number |
20510014
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
杉山 裕子 University of Hyogo, 環境人間学部, 助教 (40305694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 和秀 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 琵琶湖環境研究部門, 主任研究員 (80291178)
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Keywords | 琵琶湖 / 溶存有機物 / XAD / 分子量分画 |
Research Abstract |
平成20年度は、当該研究の初年度であり、主に溶存有機物の分離・精製法の検討および準備を行うことを目的として研究を行った。 まず、平成20年7月31日に滋賀県立大学環境科学部および神戸大学農学部土壌学教室の協力を得て、琵琶湖溶存有機物を化学的特性および分子サイズにより分離した。湖水は北湖最深部T1地点において、表層水をポンプ採水により採取した。濾過試料は神戸大所有の自動腐植物質抽出装置のGF/Fカートリッジを通過したものを採取することにより得、同装置より、さらにXAD樹脂を通過した湖水も採取した。湖水DOC濃度は1.25mgC/Lであり、これを実験室においてさらに分子量5000Daの限外ろ過膜を用いて分子量により分画した。その結果、高分子量画分のDOC濃度は0.42mgC/L、低分子量画分のDOC濃度は0.92mgC/Lとなり、有機炭素の回収率は107%であった。XADを通過した湖水については、DOC濃度1.22mgC/L、高分子量画分0.31mgC/L、低分子量画分0.77mgC/L、回収率89%となった。XAD通過水には有機物の混入があるため、濃度はこの測定値より低くなることが考えられるが、GF/F通過のうち高分子量有機物は31%、低分子量有機物が69%であったのに対し、疎水性樹脂を通過した湖水については、前者が29%、後者が71%と、ほとんど変わりのない結果となった。また、電気透析については、分画分子量100の透析膜を用いて、超純水により20分間洗浄後、膜からの有機物の混入がほとんど見られなくなることが分かった。今後は、分画した湖水試料の質量分析を行うとともに、電気透析の条件と混入有機物の濃度についてさらに詳しい検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)