2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン化有機化合物を一次イオンに用いた陽子移動反応質量分析法の大気計測への適用
Project/Area Number |
20510019
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
猪俣 敏 National Institute for Environmental Studies, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (80270586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 浩志 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 主任研究員 (30342736)
|
Keywords | 環境分析 / 環境技術 / 大気汚染 / 揮発性有機化合物 / 質量分析 |
Research Abstract |
我々のグループでは、プロトン化有機化合物(VOC_1-H^+)を一次イオンに用いるという全く新しい陽子移動反応-質量分析法の手法開発を行っている。従来の陽子移動反応-質量分析法のイオン源で生成するH_3O^+と、イオン源直下で導入させる試薬ガスVOC_1と反応させ、プロトン化有機化合物(VOC_1・H^+)を生成する方法である。これを一次イオンとして用い、その下流の導入口から大気試料(VOC_2)を導入し反応させる。2番目の反応は陽子親和力(PA)がVOC_1より大きいものだけ起き、小さいものには起きないので、大気中揮発性有機化合物の選択的な検出が可能と考えられる。これまで、新規一次イオンの生成が可能なVOC_1として、ケトンでは、アセトン、2-ブタノン、3-ペンタノン、3-ヘキサノン、芳香族炭化水素では、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、その他、アセトニトリル、メタノール、アセトアルデヒド、イソブテン、酢酸メチル、硫化ジメチル、フランと多種類かつ異なる陽子親和力を持つものが見出した。これらの多種類のプロトン化有機化合物(VOC_1・H^+)を一次イオンとして、いくつかのケトン/アルデヒド(アセトン/プロパナール、メチルビニルケトン/メタクロレイン)やカルボン酸/エステル等(酢酸/ギ酸メチル/グリコールアルデヒド、プロピオン酸/酢酸メチル/ギ酸エチル/ヒドロキシアセトン)の異性体ペアについて、最終生成イオン、VOC_2・H^+、の生成収率をVOC_1の陽子親和力の関数として調べた。この手法により、これまで報告がなかったグリコールアルデヒドやヒドロキシアセトンの陽子親和力の範囲をけってすることができた。同時に、量子化学計算を用いて、これらの陽子親和力を求め、実験値と比較した。
|