2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境支出行動に基づく生態系サービス総合評価のための経済評価手法の開発
Project/Area Number |
20510022
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 謙太郎 長崎大学, 環境科学部, 教授 (30344097)
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Keywords | 環境経済評価手法 / 回避支出法 / 選択実験 / 森林生態系 / 生態系サービス / 便益移転 |
Research Abstract |
本研究は、生態系サービスの総合評価を行うための環境経済評価手法の開発を目的とする。本年度は、個別の生態系サービスに関する既存評価研究を収集し、データ統合手法であるメタ分析を実施するための変数を作成し、総合評価を実施するための基礎情報を集約することを主な研究目的とした。いわば変数構築のためのアーカイブ化を行うことにより、生態系サービスに関する信頼性及び妥当性の高い環境経済評価を実現することが可能となる。本年度は、主に日本国内の生物多様性及び生態系サービスの経済評価事例を収集し、整理・統合した。また、国際的なTEEB(生態系と生物多様性の経済学)プロジェクトの一環として、自身が手がけたオリジナルな森林生態系評価事例と他国の研究事例を比較可能な形で提示することにより、国際間の便益移転を可能とする研究成果となった。事例収集は、メタ分析を実施するための変数作成作業の一環であり、生物多様性及び生態系サービスの諸要素を変数とするものである。生物多様性に関して遺伝子、種、生態系の多様性の観点から整理し、生態系サービスに関しては、基盤、供給、調整、文化的サービスの観点から整理した。その結果、経済評価を組み合わせるための基礎情報が収集され、整理された。このことは、生態系サービス総合評価を行う上で、国内の研究をアーカイブ化した重要な貢献であると考えられる。ここで分類、統合した研究成果は、日本における研究蓄積を示すものであり、サンプル数の点で信頼性の高いメタ分析を実施するには不足しているが、メタ分析実施に向けての方向性を決定づけるものである。メタ分析を実施する際には、単位当たり支払意志額、生態系サービスの種類、地域所得、環境水準の指標、モデルの特徴などの情報が最低限必要であるが、それらを今後さらに整備していくための方向性を定めることのできる研究成果が達成された。
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Research Products
(2 results)