2010 Fiscal Year Annual Research Report
対話型ベンチマーク手法に基づく環境統計・情報の収集改善策および利用活性策の提案
Project/Area Number |
20510032
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿部 直也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30323819)
|
Keywords | 環境統計・情報 / ベンチマーク手法 / 環境政策 / 速報性 / 信頼性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環境統計・情報の利用者のニーズを重視し、環境行政に貢献できる環境統計・情報の収集方法や利用実態を把握し、その改善策を提案することである。そのため、大気、廃棄物、化学物質、エネルギーなどを対象に同統計・情報の収集及び利用実態を全般的に把握し、利用者が重視する要件は信頼性であることを明らかにした。同時に、環境統計・情報の利用活性策を検討する上で、情報提供の速報性を高め有効性を明らかにした。そこで速報性が高い大気環境常時観測システムに着目し、その運用主体である自治体を対象に運営管理体制(人員および予算)や利用状況について調査した。その結果、一部の大気汚染物質観測データのニーズは高く、その速報性のある情報提供の意義を確認できたが、それ以外の大気汚染物質観測データは、多くが環境基準を満たし、そのニーズや利用頻度は低く、速報性の実現とは対照的に必ずしも利用者のニーズに応えていない状況を明らかにした。本年度は、低速報性と低観測頻度を特徴とする、前述の観測システムと対照的な有害大気汚染物質(ベンゼンなど)モニタリングの運用実態に関するアンケート調査を行った。その結果、同モニタリングを実施・管理する各自治体は、財政事情の悪化や熟練職員の退職といった課題に対応し、モニタリング(=収集)体制を工夫し、大きく3つのグループ(直営、民間委託、混合)に分かれ、一部自治体内では、観測ノウハウの継承や維持が困難になっていることを明らかにした。また、一部の自治体は、データ収集・分析・公開という一連のプロセスの「公開」プロセスのみ直営で管理し、環境情報・統計に対する関心が必ずしも高いとはいえず、消極的に現状に満足している傾向が示唆された。情報の収集と利用方策の改善のためには、その両局面をセットにして対応する必要であり、人材の確保とノウハウの組織内の蓄積・継承が重要であることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)