2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林の持続可能性と林産物貿易に関する国際的枠組みについての政治経済学的分析
Project/Area Number |
20510038
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
島本 美保子 Hosei University, 社会学部, 教授 (70245629)
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Keywords | 環境政策 / 林学 |
Research Abstract |
今年度、まずレントシーキングや産業組織論の分野から、林産物多国籍企業の活動を分析するべくリサーチを始めた。アメリカの林産物多国籍企業の会計などを少し調べたが、レントシーキングについては理論的には分析できても、実証に耐えうるデータを取得するのはかなり至難の業である、ということが徐々に明らかになってきた。産業組織論的なモデルについても、需要寡占構造を理論的に扱うことはできても、なかなか実証レベルで扱うのは困難であることが明らかになってきた。 また調べていくうちに、貿易による分配変化や、多国籍企業による貿易利益が誰に帰着するのか、というアプローチのほうが、各国の政策や政治構造に与える影響を分析する切り口としては、適切なのではないか、と考えるようになった。 そこで、多国籍企業の経済利益はどの国で課税されるのか、またタックスヘブンの問題や移転価格の問題がどの程度多国籍企業の企業立地に影響を与えるのか、という問題について調べた。その結果、例えば日本の多国籍企業の海外直接投資は、特に製造業では海外子会社の収益が本社の収益の3割程度までになっており、しかも海外子会社の収益の内部留保は7割にも及ぶことがわかった。この分は日本の法人税課税が留保されることになる、ということである。このような多国籍企業と国家利益の関係、そして経常収支均衡を確保できない国際通貨システム、これらを踏まえてどのような実証モデルを構築できるのか、ということを分析することが次年度の課題であると認識している。
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Research Products
(2 results)