2010 Fiscal Year Annual Research Report
家庭部門における太陽光発電普及政策の環境効果と経済効果に関する研究
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20510043
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹濱 朝美 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60202157)
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Keywords | 太陽光発電 / フィード・イン・タリフ / CO2排出削減 / 再生可能エネルギー / EEG / 電力集中型企業特恵 / 原油輸入費用節約 / 発電・送電分離 |
Research Abstract |
(1) 再生可能エネルギー電力に対するフィード・イン・タリフ(買取制、以下、FITと略す)の設計についてドイツと日本を比較し、太陽光発電の買取費用と普及効果を推計した。(2)ドイツのFITは、発電原価に応じた買取価格により、太陽光発電ではシステム価格に対する年間売電収入比率で10-12%を実現している。ドイツにおける非特恵電力消費者のFIT分担金は1.31ct/kWh、家庭用電気料金の5.6%であった(2009年)。(3)FIT分担金については、産業界の競争力維持のために、自家発電の比率が少なく年間購入電力量の大きい電力集中型企業に対して、減免が必要である。ドイツの経験によれば、鉄鋼、化学、製紙業などで減免が必要であろう。(4)ドイツ型FITによる太陽光発電の普及効果を回帰分析した。新規設置容量は、システム価格の低下と買取価格に規定される。年間売電収入がシステム価格の10%となる買取価格を実現するなら、新規設置容量はシステム価格の低下に応じて普及する。ドイツと類似条件のFITを日本に導入する場合、日本の累積設備容量は、2021年に44.1GW(システム価格低下が年9%の場合)、または、74.3GW(システム価格低下が年12%の場合)になると推計する。(5)太陽光発電にFITを実施する場合、FIT買取費用の30~40%は、原油輸入費用の節約とCO_2排出権購入費用の節約により回収することができる。<高買取価格・急速逓減率>型FITでは、たとえ逓減率を急速に低下させても、FIT買取費用の負担が大きい。(6)EU電気命令(Directive 2009/72/EC)およびエネルギー産業法(EnWG)により、ドイツ送電システム業者は発電業者から分離独立し、再生可能エネルギーの優先接続義務を負う。送電システム業者は、15分間隔の風力発電出力予測や15分間隔の電力取引など、電力の需給バランス調整技術を発達させている。
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Research Products
(2 results)