2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 新一郎 Tohoku University, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (10400417)
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Keywords | APエンドヌクレアーゼ / 活性酸素 / DNA修復 / 老化 / DNA損傷 |
Research Abstract |
細胞は絶えず活性酸素によるDNAの損傷を作り出しているが、その中でも最も細胞に影響のある損傷は塩基を喪失した部位、APサイトである。これまで、APサイトを認識してその5'側にニックを入れて塩基除去修復を開始するヒト酵素はAPE1と呼ばれる酵素のみであると考えられていた。我々は一昨年、全く新しい構造を持ち、APサイトの5'側にAPE1と同じようなニックを入れ、さらに3'-5'への強いエキソヌクレアーゼ活性を持つ新規の酵素蛋白PALFを発見した。この酵素に続いてPALFと良く似た活性を持つAPエンドヌクレアーゼを発見し、これをAPENXと名付けた。いずれもポリADPリボースポリメラーゼ(PARP1)と結合し、単鎖切断の修復に関わっていると考えられる。これらの酵素のヒト細胞での役割を詳しく調べるために、それぞれの遺伝子の発現を抑えた細胞を作製し、それらの種々のDNA損傷物質に対する感受性を解析した。その結果、PALFのノックダウンは塩基損傷や単鎖切断を作るMMSに高感受性となる事が判明した。PALFの結合タンパクの中にはDNAの二重鎖切断のnon-homologous end joining(NHEJ)による修復に関わる修復蛋白であるKU蛋白やXRCC4及びLIGASE4が見つかった。これらの結合はPALFがNHEJでのDNAの末端の修飾或は修復に関わり合っている事を示唆する。PALFが実際に二重鎖切断の修復の際にどのような働きをするかをin vitroの実験系で解析した所、末端を平滑化することが分った。現在、アメリカのグループと共同研究でNHEJでの役割を詳しく解析中である。
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