2008 Fiscal Year Annual Research Report
広島・長崎原爆放射線量評価体系DS02の検証計算と誘導放射線量の評価
Project/Area Number |
20510050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今中 哲二 Kyoto University, 原子炉実験所, 助教 (90109083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 暁 広島大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90243609)
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Keywords | 広島・長崎 / 原爆放射線 / 誘導放射線 / 放射線輸送計算 / 被曝線量 / DSO2 / DS86 / MCNP |
Research Abstract |
広島・長崎原爆による放射線量評価に関連し平成20年度は、DS02初期放射線量の妥当性に関連する論文をまとめるとともに、誘導放射線量の評価計算を実施した。Takamiya論文では、DS02において原爆速中性子束の評価に用いられているCu63 (n, p) Ni63反応の断面積を、ENDFやJENDLといった既存のライブラリー、ならびに独自評価データと入れ替えながら計算結果への影響を検討した。その結果、爆心近辺では独自評価データによる計算結果がDS02より大きめになったが、被爆生存者が多い1km以遠ではいずれの計算結果もよい一致を示した。Imanaka論文では、DS02によって得られている地表面での中性子計算結果をDS86による同様の計算と比較することにより、DS86による誘導放射線量計算結果をDS02に合わせて変換した。その結果、DS86に比べると、広島での誘導放射線量は、爆心付近では約15%減少し1km以遠で約20%の増加となり、長崎では10〜20%の減少となった。Tanka論文では、広島原爆の中性子放出スペクトルをインプットに用いて、3次元モンテカルロ輸送計算コードMCNPにより土壌中での誘導放射能生成量を計算し、誘導放射能からのベータ線被曝線量とガンマ線被曝線量の評価を行った。その結果、爆心地付近での地上1m皮膚線量は1週間積分値で0.82Gyとなり、そのうちベータ線の寄与が23%となった。また、関連する研究として、黒い雨にともなう放射性降下物による被曝線量評価の可能性について取り組みをはじめ、予備的な結果を今中が2008年11月の放射線影響学会で発表した。さらに、2009年1月の京都大学原子炉実験所学術講演会では、原爆線量評価の歴史的変遷について今中が報告した。
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Research Products
(6 results)