2009 Fiscal Year Annual Research Report
広島・長崎原爆放射線量評価体系DS02の検証計算と誘導放射線量の評価
Project/Area Number |
20510050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今中 哲二 Kyoto University, 原子炉実験所, 助教 (90109083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 暁 広島大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90243609)
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Keywords | 広島・長崎 / 原爆放射線 / 誘導放射線 / 放射線輸送計算 / 被曝線量 / DS02 / DS86 / MCNP |
Research Abstract |
広島・長崎原爆の早期入市被爆者に対する誘導放射線量については、これまでに入市者が立ち入った場所の爆心からの距離ならびに爆発後の時間の関数として、地表1mでの誘導放射線量を計算してきた。そうした計算結果をデータベースとしてマイクロソフトExcelに入力し、入市者の当時の挙動が分かれば外部被曝量を求めることができる簡易ソフトInDose07を開発した。平成21年度は、早期入市者のうち嘔吐、下痢、脱毛といった症状をABCCに保管されている医療調査票で確認できる2名に面談し、原爆直後の行動について聞き取りを実施した。InDose07を用いて彼らの外部被曝を求めたところ、9mGyと3mGyという値になった。入市者の病歴は放射線症状を想定させるものの、従来の知見に基づくと、被曝量の見積もりは放射線症状を引き起こすほどではなく、以下の3つの可能性を検討している。(1)観察された疾病は、疲労や感染症などによるもので放射線被曝とは関係ない、(2)被曝量の見積もりが大きく間違っている、たとえば、今回の見積もりには含まれていない内部被曝の寄与が大きかった、(3)原爆被爆という極限的な状況下で、放射線被曝が他の要因と複合的に作用して閾値が大きく下がり急性放射線障害のような症状が現れた。中性子輸送計算手法の開発については、1999年に発生した東海村JCO事故の際の中性子挙動シミュレーション計算を実施し、環境中での中性子放射化生成物測定データと比較した結果を環境放射能研究会の報告にまとめた。
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