2010 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ放射能汚染シミュレーションによる継世代的遺伝毒性と発癌のリスク推定
Project/Area Number |
20510052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 裕夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20237275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 直 大阪大学, RI総合センター, 教授 (50153812)
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90271569)
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Keywords | チェルノブイリ原発事故 / 低線量・低線量率放射線被曝 / 遺伝毒性 / 発がん性 / セシウム-137 / シミュレーション実験 / リスクアセスメント / チェルノブイリ原発放射能汚染 |
Research Abstract |
初年度に確立することに成功したセシウム137、線量(10~100Bq/g)によるチェルノブイリ汚染地域と同等の低線量放射線被曝環境内でA/Jマウスによる世代交代実験、ならびに発がん実験を行った。【世代交代実験】上記の環境下でA/Jマウス同腹仔の雌雄を3グループ(0,10,100Bq/mlセシウム水給水)に分けて兄妹交配による世代交代を行った。その結果、0、10Bq/ml群では8世代、100Bq/ml群では9世代まで世代を進めることに成功した。【慢性的低線量放射線内部被曝生物における発がん物質による発がん過程への影響実験】A/J系統マウスに、発がん物質であるUrethane(A/Jにおいて肺癌誘発)を単回皮下投与し、セシウム137水飲水下で8ヶ月間長期飼育したマウスの個体あたりの腫瘍発生頻度、腫瘍増殖速度を定量した。ここで誘発される癌は、バクテリアのコロニー様の病変部を生ずるので、腫瘍の数を細菌コロニーカウントのように計数することができ、発がんへの影響の定量が可能となる。その結果、0、10、100Bq/ml各群10匹ずつにおけるウレタン誘発による個体あたりの肺腫瘍発生数は、それぞれ36.8(368/10)、441(441/10)、44.1(441/10)、平均腫瘍直径(mm)は1.64、1.69、1.68で被曝群に腫瘍発生率、増殖速度の増加傾向が若干見られるものの統計学的有意差は認められなかった。【遺伝子発現量の変化】同環境下で3世代経たマウスの肺組織における遺伝子発現量の変化をGeneChipにて測定した。その結果、顕著な遺伝子発現量の変化を示す遺伝子が数個認められ、慢性的低線量内部被曝が特定の遺伝子発現に影響している可能性が示唆された。
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