2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しいDNA損傷検出法による塩基除去修復の細胞周期依存性の解明
Project/Area Number |
20510054
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
久保 喜平 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40117619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 聡 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10254442)
竹中 重雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10280067)
山本 亮平 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (20457998)
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Keywords | 塩基除去修復 / DAN polymeraseβ / 脱塩基部位 / FARP-1 / ARP / 細胞周期 / ノックアウトMEF / ノックダウン |
Research Abstract |
野生型(WT)とpolβのノックアウト/ノックダウン(KO/KD)MEFをMMS処理し、直後およびその後継時的に、G1およびS期細胞核内のAP部位数をPI/FARP-1法にて、また、抽出DNA中のメチル化損傷の修復動態をARP法により解析した。polβ-KO細胞では、メチル損傷のグリコシラーゼ(MPG)の除去活性の低下は、G1およびS両期において観察されるが、G1期における除去能の低下が著しいことが分かった。polβ-KO細胞におけるMPG活性の低下が、APE1とpolβの相互作用の喪失によるか検討するために、単一のAP部位をオリゴヌクレオチド基質に親和性を有するMPGを結合させたのち、APE1のKmを測定したが、いかなる変化もみられなかった。一方、WT細胞とpolβ-KO MEFのMMS処理後、沃化プロピジウムとFARP-1の二重染色を行い、核中のAP部位を共焦点レーザー顕微鏡により観察を行った。対照群に比べてMMS処理群では、FARP-1のフォーカス状のシグナルが認められ、そのシグナル強度および数はWT細胞において明らかに高かった。以上の結果より、polβ依存性の塩基除去修復は、G1期の細胞でより効率的であり、S期における相対的寄与は小さく、したがって、その喪失の影響は小さいことが明らかとなった。一方、MPGおよびAPE1に見られる産物による阻害は、それぞれAPE1およびpolβによって、解除されることより、pass-the batonモデルによる修復系の制御と合わせて、G1期の細胞においては、polβによるMPG活性制御が塩基除去修復の調節に重要な役割を担っていると考えられる。
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