2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断修復におけるArtemisの機能発現メカニズム
Project/Area Number |
20510057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石合 正道 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 准教授 (90298844)
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Keywords | DNA損傷 / DNA修復 |
Research Abstract |
本研究は、DNA二重鎖切断修復に関わるヌクレアーゼArtemisの細胞内動態解析を行うことで、Artemisの機能調節機構を明らかにすることを目的とする。ArtemisはDNA損傷後にDNA-PKやATMによりリン酸化されることが知られているが、リン酸化の機能的意義、またこれら上流のキナーゼの機能については未だに混沌とした状況が続いている。研究代表者はartemis欠損DT40細胞株を作製しており、この欠損細胞株でのヒトArtemisとGFPの融合タンパク質(Artemis-GFP)の安定発現細胞を樹立した。この細胞はartemis欠損細胞の放射線感受性を相補できる。本年度は、まず、樹立したArtemis-GFP安定細胞を用いフォトブリーチングによるArtemisの動態解析が可能かどうかを検討した。京大放生研にある共焦点レーザー顕微鏡を用い、フォトブリーチングによるArtemis-GFPの動態解析を試みたが、困難であったため、申請書に記載した別の方法である局所レーザー照射によるArtemis-GFPのフォトブリーチング解析を、広島大学原医研の田代聡教授の研究室との共同研究で行っている。見込みに反して、解析が容易ではないことが判明してきた。その主な理由は、細胞が動きやすいこと、安定発現細胞でのArtemis-GFPの発現量が低いことである。現在、ディッシュ、培地や温度・湿度管理などの細胞の培養条件・実験環境の検討と、実験条件の確立を行っている。また、Artemis-GFPを高発現する細胞株の樹立を再度試みている。条件が確立でき次第、局所レーザー照射によるDNA損傷部位でのArtermisの動態解析を行う予定である。また、Artemisのリン酸化の生化学的解析には、293Tで発現、免疫沈降法により調製したArtemisと精製DNA-PKによるin vitroのリン酸化反応では、細胞内でのリン酸化データと異なり、6M変異体でもリン酸化が見られた。ATMで、同様の実験を準備中である。Phos-tag試薬を用いたリン酸化検出を行うため、FANCIをモデルにリン酸化検出の条件検討を行い、発表した。関連して、東北大学の榎本武美教授との共同研究でartemisがDNA損傷によるアポトーシスに関与することを報告した。
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