2010 Fiscal Year Annual Research Report
地方の漁港底質に高濃度蓄積する有機スズ化合物および代替塗料の現状調査
Project/Area Number |
20510066
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高尾 雄二 長崎大学, 大学院・生産科学研究科, 准教授 (20206709)
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Keywords | 有機スズ化合物 / 漁港 / 塗装設備 / 船底塗料 / トリブチルスズ |
Research Abstract |
これまでの研究で、九州北部、韓国南部、千葉県東部、神奈川県三浦半島、東北東部の漁港底質を調査した結果、漁船の船底塗料を塗り直す設備のある漁港で高濃度の有機スズ化合物濃度が検出される頻度がとても高いことを見出している。この濃度は、従来報告のある造船所やドライドッグ近辺の底質濃度に匹敵する濃度である。本研究では、国内およびアジアの他の地域においても同様の汚染が進行しているのかを研究することを目的とする。本年度の研究の結果、沖縄本島の漁港にて採取した底質を分析した結果、これまでに分析した漁港の傾向とほぼ同様に、船底塗料塗り直し設備が有機スズの高濃度汚染源となっていることがわかり、全国的な傾向であることが分かった。この内容は日本環境化学会で発表を行った。また、九州の数力所における漁港における有機スズ濃度を追跡調査した結果、有機スズ化合物の規制の進行と共に濃度が単純な低下傾向の漁港ばかりではないことを明らかにした。また、北海道南西部のおよそ40カ所の漁港を5日間で採取し、現在、その一部の分析が終了している。 これらの結果から、漁師が年間1~2回の頻度で漁船の船底塗料を塗り直す際に発生する少量の削り屑のその場投棄の行為が有機スズの高濃度汚染源であり、この実情を放置し続けると、有機スズに変わる代替塗料においても、同様の傾向で漁港が汚染されることを意味する。
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