2008 Fiscal Year Annual Research Report
解毒代謝経路の探求 -経路で働く新規遺伝子の発見とその機能解析
Project/Area Number |
20510069
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
三輪 錠司 Chubu University, 応用生物学部, 教授 (80321686)
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Keywords | GST / アクリルアミド / Caenorhabditis elegans / 経路 / 遺伝学 |
Research Abstract |
環境汚染物質や食品危害物質、残留農薬など生体外から摂取される外来異物(生体異物)、あるいは代謝副産物として生体内で発生する活性酸素種などのストレスは、様々な病気や老化を引き起こす原因と考えられている。これら有害物質を解毒する酵素のひとつであるグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)は、バクテリアからヒトに至るまで共通に存在する生体防衛システムの重要な構成要素である。本研究では、分子遺伝学のモデル生物であるCaenorhabditis elegans(以下、線虫)を用いて、毒物レセプターから解毒酵素GSTの発現までの経路を解明し、GST発現制御の全体像を明らかにすることを目的とする。この目的を達成するため、GST発現に異常をきたした変異体を分離してきた。今までのところ計37の変異体を独立に分離し、うち21の変異体について相補性試験をおこない、これまでに次の3つの遺伝子を発見することができた。遺伝子1:染色体Iに起こった変異で、変異体は有害物質が無くとも体全体にGST発現がみられる。遺伝子の同定完了。遺伝子2:変異体は有害物質無しで咽頭筋と体壁筋にGSTが発現してくる。未同定。遺伝子3:変異体は有害物質が無くとも体全体でGST発現が見られる。未同定。 以上の結果から、GST発現制御経路のなかで抑制的に働く遺伝子が存在すること、ひいては有害物質が体内に摂取されることで、抑制から解放されGSTが発現誘導される遺伝子制御機構が存在することが明らかとなった。今後は、残る2つの遺伝子を同定すること、経路上で誘導的に働く遺伝子を発見することをおこない、経路の全体像解明を目指す。
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