2008 Fiscal Year Annual Research Report
PCBの甲状腺ホルモン攪乱作用機構の解明に向けた統合的研究:ヒトへの応用
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20510070
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
加藤 善久 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 准教授 (90161132)
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Keywords | 甲状腺ホルモン撹乱 / サイロキシン / 4-OH-CB187 / UDP-glucuronosyltransferase / トランスサイレチン / PCB / 肝臓 / マウス |
Research Abstract |
本研究では、PCBの血中サイロキシン(T_4)濃度低下作用機構の全貌を解明することを目的としている。今回、PCB投与による血中T_4濃度の低下にトランスサイレチン(TTR)が関与しているか否かについて明らかにするため、C57BL/6系マウス、DBA/2系マウス及びTTR遺伝子欠損マウス(TTR-/-)に4-OH-2,2',3,4',5,5',6-heptachlorobiphenyl (4-OH-CB187)を投与し、4日後に血清中総T_4、遊離T_4濃度及び肝臓のグルクロン酸抱合酵素(UDP-GT)活性を測定した。また、その時に[^<125>I]T_4を静脈内投与し、血中からの[^<125>I]T_4のクリアランス,血中[^<125>I]T_4とトランスサイレチン(TTR)あるいはアルブミンとの結合率、[^<125>I]T_4の組織分布量を測定した。血清中総T_4及び遊離T_4濃度は、C57BL/6系マウス及びDBA/2系マウスに4-OH-CB187を投与したとき、有意に低下した。一方、肝臓のT_4-UDP-GT活性は、いずれの場合にも変化しなかった。[^<125>I]T_4の血清クリアランス及び分布容積、[^<125>I]T_4の血清-肝臓間分配係数及び肝臓単位重量当たりの[^<125>I]T_4の分布量は、両マウスに4-OH-CB187の投与により、顕著に増加した。また、両マウスに4-OH-CB187を投与することにより、[^<125>I]T_4とTTRとの顕著な結合阻害が起こり、代わって[^<125>I]T_4とアルブミンとの結合率が増加した。さらに、TTR遺伝子欠損マウスに4-OH-CB187を投与した場合には、血清中総T_4及び遊離T_4濃度は全く変化しなかった。以上、4-OH-CB187による血清中T_4濃度の低下は、主に血中T_4の肝臓への移行量の亢進、また血中T_4とTTRとの結合阻害によって起こることが示唆された。
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Research Products
(19 results)